ミック主演のカルト映画がやっとDVD化よ!!

ドラッグ&サイケデリック・カルチャーを描いた秘匿のフィルム「パフォーマンス 青春の罠」(68年製作)。エキセントリックすぎる内容ゆえにUSで2年間もお蔵入りしたこの不遇のUK産映画は、日本ではビデオ・スルーだった(98年にやっと劇場公開)。しかし今回のDVD化でミック・ジャガー初主演の超カルト・ムーヴィーとして、評価は定着することだろう。当時キノコの如く沸いて出たさまざまなサイケ映画とこの〈パフォーマンス〉が一線を画すのは、ギャング映画な前半とドラッグ映画な後半という変則的かつ魅惑的なプロットを持つ点だ。自由気ままなヒッピーとは対極の存在=命を狙われるギャングが、ミック演じる引退したロックスターの館へ逃げ込んでドラッグの洗礼を受ける――異文化/異ジャンル交流とも言うべき構造は、風俗や遊びとは隔絶された〈ドラッグ・カルチャー〉の求道性をあぶり出し、トリップ・シーンに至っては死と再生の儀式のような厳粛ささえ与えられている。撮影監督であるニコラス・ローグのスタイリッシュにキメまくったギミックまみれのカメラ・ワークが幻惑性を高め、存在するだけで危なさと妖しさを撒き散らしていた当時のミックがサイケ・グル(導師)の役柄にジャスト・マッチ! 彼をフィーチャーしたプロモ・クリップの元祖的なシーン(サントラ盤に収録されている“Memo From Turner”をギャングの格好で歌う)も実にクールだ。なお、特典映像にはそのメイキングも含めたニュース映像や関係者が往時を振り返るドキュメンタリー(伝説のストーンズ・ガール、アニタ・パレンバーグも登場!)などが封入。眼から耳から深く吸い込め!!