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第309回 ─ Zakir Hussain

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/03/06   00:00
更新
2008/03/06   17:51
ソース
『bounce』 296号(2008/2/25)
テキスト
文/本橋 卓

世界を駆けめぐるタブラ・マスターのアグレッシヴな活動ぶりを伝える2作品が登場だ!

 昨年リイシューされた76年作『Diga』が話題を呼んだディガ・リズム・バンドを聴いて、〈ザキール・フセインって何者?〉と思った人って結構いるのでは? この51年生まれの天才タブラ奏者は古典の継承者でありながら、ビル・ラズウェルとのタブラビート・サイエンスやディガの進化形と言えるミッキー・ハートらとのグローバル・ドラム・プロジェクトなど、これまでにいろんなタイプの音楽に取り組んできました。それらがあまりにも斬新な試みであるため、時代がついてくるまで冷遇されるという悩みも天才ゆえのこと。ジョン・マクラフリンとのシャクティでさえ当初は周囲から総スカンだった……なんて信じ難い話もありますが、今回そんな彼の関わった注目作が2枚登場! まずはUSのジャズ・プレイヤー、マーク・イズとザキールの共演作『Threading Time』。マークのベースと東儀季信の篳篥(ひちりき)とザキールのタブラが幽玄に絡み合うアヴァンギャルド・ジャズといった内容です。そしてもう一枚は、インド以外では未流通だった幻のアンビエント作『Space The Elements』がめでたくリイシューされました! タブラのミニマルなビートが集積されて絶対零度のチルアウト・ゾーンへと誘う極上の今作を聴いて、早いとこザキールを追わなくては!と思う次第。