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第10回 ─ Israel

連載
グディングス・リナ の Delicious Dishes
公開
2008/02/28   22:00
ソース
『bounce』 296号(2008/2/25)
テキスト
文/グディングス・リナ

グディングス・リナが世界の〈音楽〉と〈料理〉のお皿2枚使いで贈る、〈音食同源〉コラム!!


  物心ついたころから、ニュースに出てくる中東はなんだか血なまぐさい話題が絶えなくって。特にイスラエルは長い歴史でどうみてもいろんなことが起こり過ぎだから、特殊な磁場が働いてるんではなかろうかとか、大陸のおヘソっぽい位置にあることだし、って隠された壮大な縁起めいたものを想像してみたりとか、わたしのいらぬ妄想さえも誘発する地帯なのである。 

元を正せば同じ人種同士が、宗教の違いを背景に争っているってのだから、ああややっこしい。神さまのことを思うあまり、喧嘩に発展だなんて、奉られた神さまもいい迷惑。でもどうやら、それは建前というか、もっともらしい理由ではあるけれど、そもそもユダヤ人とアラブ人はいっとう最初は仲良く暮らしていたようなのだ。それが憎み合うようになってしまった歴史はしかるべき文献をあたっていただくとして……。現在かの地にはユダヤの移民が欧米に限らずアフリカなど世界各地から集まって来るおかげで、不法入国者も含めてたくさんの人が流れ込んできており、争いの一方で人種のるつぼ具合たるや、民族百花繚乱の様相らしいのだ。なるほど~、フムフムス。

聖地とされている場所が世界でもっとも血なまぐさいってのはいかにもな皮肉だけれど、報道されるイスラエルからはなかなか見えない部分で、各地からの移民が運んできた文化がまざりあってそこに独特の文化が育っているのは、ああそれもまた人間くさいこと。というのは、今回紹介するイダン・レイチェルの『The Idan Raichel Project』(Cumbancha)がこんな遠くまで聴こえてきて懐かしさを呼ぶのも、この人間くささがわたしとあなたの共通所有物だって証しかもね。

移ろう民はいつでも理想の土地を求めている。それがなかなか〈ココ〉じゃないことは、原因なのか結果なのかわからないけれど、たいへんに悩み多き生き方じゃないだろうか。自分のいまいる〈ココ〉がすでに理想だと信じるのは、わたしにだって難しいことなのだけど。

フムスの詳しいレシピなどはこちら!
http://www.goodingsrina.com/blog/

聴いたこともない言葉や旋律に、こんなに懐かしくなるのはナゼ? お皿に並んだ哀愁、郷愁、フムスをパンにたっぷりつけて頬張る。

PROFILE

グディングス・リナ
ヴァーサタイルなクロスオーヴァー・ポップをクリエイトする〈フムスLOVE〉なシンガー・ソングライター/トラックメイカー。アルバム『大都市を電車はゆく』(ビクター)が好評リリース中。3月7日に名古屋ブルーノートでライヴを行う予定(抽選のため、詳細は上記ウェブサイトをチェック!)。