まさに〈有終の美〉を飾るラスト・アルバム! サヨナラだけどサヨナラじゃないよ(泣)!!
昨年12月に行われた東名阪ツアーのタイトルは〈END ROLL〉。もしや……の噂が囁かれるなか、ファイナルの東京・NHKホール公演においてsyrup16gの解散が発表された。〈3ピースででき得る限りの最高の音〉をストイックに追求したギター・ロックと、物事の終焉、あるいは死そのものを見つめたシリアスな詩世界。身を削るように傑作を生み出し続けるソングライター、五十嵐隆の求道者的な気質は、このバンドの存在を常に危ういものに見せ、同時に孤高の光をもたらしていた。そんな彼らによる3年9か月ぶりの新作にして最後の作品『syrup16g』は、心の内面を鋭くえぐる歌詞とは対照的に、サウンドは全方位に向けられている。時にエモーショナルにうねり、時に美しい流線型を描くフィードバック・ギター、言葉の一つ一つを丁寧に聴き手へ届けるメロディー――極限まで研ぎ澄まされた楽曲は、どれもエッジーでありながら聴き手を選ばないポップさだ。
2008年3月1日の日本武道館公演がラスト・ライヴ。ある種の清々しさすら感じさせる完成度の新作を聴く限り、その終幕は決してネガティヴなものではないだろう。
▼Syrup 16gのベスト盤。