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第26回 ─ 反省文の書き方

連載
踏 切 次 第
公開
2008/01/31   21:00
ソース
『bounce』 295号(2008/1/25)
テキスト
文/次松 大助

次松大助が見つめる、とある町の日常──

 あけましておめでとうございましょうが、実はまだ2007年12月23日、午後5時05分です。20日までにこの原稿を書き終えて、少し早い年末をゴロゴロだらだらスパスパごくごくへらへらしようと思っていたのですが、原稿を書くにはまず机の上を片付けなくてはならず、試しに机の上のたくさんのCDを、小型のスピーカーの上にどんどんどんどん積み上げて152cmほどに達したところで、案の定、アル中がジェンガを通じて職業訓練をしているような状態になって1秒後には爆発、炎上し、たくさんの死傷者を出しながら崩れ果てました。コーヒーがこぼれるやら灰皿がひっくり返るやら、眼前のノー・フューチャーな情景にすっかり心萎えてしまい、原稿をあきらめて、先にゴロゴロだらだらスパごくへらへらぷーぷーしていたら、四次元軸の倒錯というか浦島現象というか、ひょっとすると成人式のときに宇宙人によって僕の後頭部に埋め込まれた小型の発信器の定期検診が行われたか何か知りませんが、とにかく気が付くといま、締め切りを3日過ぎた、23日の午後5時過ぎだということです。〈不思議なこともあるもんやなぁ〉と感心して、よし、と気を入れ直して散歩に行くことにしました。目的地は春に発見した池で、冬はどんな景色になるのかを見ておきたかったのです。

 僕ならば100人は住めるヨ、という大豪邸を横目に過ぎ、あれ、こんなとこにケーキ屋があるんやなぁとか思いながら歩いていると、わりとすぐに目的地の池に着きました。

 藤子不二雄でいえばFの方(勝手にファンシーのFだと思っている)の漫画に出てくる「うひょー」という台詞がぴったりくるほどの綺麗な景色に、脳ではなく脊髄が感動を禁じ得ず、それまで頭に被っていた殿様のカツラを投げ捨て、通販で買った国際線パイロットのコスチュームを脱ぎ去り、口からマウスピースを吐き出し、ユニクロのふんどしを頭に乗せ、気が付くと全裸で池に飛び込んでいました。しかし、運悪く藻が足に絡まり少し溺れてしまったのですが、偶然通りかかった警察官の献身的な救助活動により、一命を取り留めました。その後、署まで同行願います、と言うので〈急いでんだけどなぁ〉と裸のまま文句を言いつつ、警察署へ行ったのですが、初めて入った署の内部にテンションが上がり、まじやばいまじやばいまじちょ、写メ撮ってイっすか?と言った後、ひとしきり怒られて帰って来ました。家に帰って原稿に取り掛かるやいなや、今度は〈M-1グランプリ〉がはじまったので、それを観ながらまたゴロゴロだらだらスパごくへらぷーすやすやしていたが為に原稿がこのような時間になってしまい、本当に申し訳ございません。反省しています。もう二度としませんすいません。

今月のBGM

HENRI SALVADOR
『Best of Henri Salvador』

Barclay
個人的には冬の午前中に中目黒を歩きながらイヤホンで聴いてみたいです。社会復帰できなくなりそうな、ストリングス、ハープ、フルートのアンサンブル。

PROFILE

次松大助
99年に大阪で結成されたスカ・バンド、The Miceteethのヴォーカリスト。バンドの『07』、ソロ・プロジェクトである箱の初作『long conte』が好評リリース中。2月21日に東京・代官山UNITで行われるイヴェント〈KEEP IT STEADY vol.03〉にバンドで参加する予定。