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第269回 ─ Oasis

連載
NEW OPUSコラム
公開
2007/12/27   23:00
ソース
『bounce』 294号(2007/12/25)
テキスト
文/柴田 かずえ

初のドキュメンタリーDVDで、彼らの素顔を暴け!

 オアシスはいまも成長を続けているバンドだ――ベスト盤『Stop The Clocks』のリリースと同タイミングでプレミア上映されたドキュメンタリーDVD「Lord Don't Slow Me Down」を観れば、この言葉の意味がわかるだろう。本編には大スターとしての顔と、日常的な表情が交差している。世界中のスタジアムで観客を熱狂させる一方、楽屋やホテルではサッカーの試合に悪態をつき、トム・クルーズをコキ下ろし、ゲームに興じるメンバーたち。さらに各地でインタヴューに応えている様子も収められているが、特に印象的だったのは「人生は少しずつ良くなってる。めざした場所に近づいてるからね」というリアム・ギャラガーの発言だ。キャリアを総括したベスト盤と、バンドの表と裏をさらけ出したフィルムを発表したオアシス。この2作品は、バンドが自分たちのいた貧しい場所から抜け出して掴んだ成功の証である。しかし彼らは決して人生をやり遂げたとは思っていない。過去から抜け出したいま、バンドがめざす場所はいったいどこにあるのか。今後彼らが私たちに何を見せつけてくれるのか、期待して待とう。