ジャズ史上最大のイノヴェーターが残した音源をまとめた注目の2作品が同時リリース!!
キテレツなようでいて、エイミー・ワインハウスはサラ・ヴォーンらの正統な後継者でもある。枠組からハミ出すことを恐れない、それをジャズの本質とするならば、マイルス・デイヴィスが残した音源はリミックスに恰好の素材だ。そんなマイルスの注目作がここに2種登場。ひとつはリミックスを中心とした『Evolution Of The Groove』で、なんといってもナズのラップをフィーチャーした“Freedom Jazz Dance”が目玉。マイルスのスキャットから一転、ぶっといベースやループするトランペットによるザラザラしたビートに変化し、テンポを落とすとナズの骨太なラップが加わる。単なるマイルス賛歌に終わらせず、ハービー・ハンコックやロン・カーターらの名を織り込むところもナズらしいところ。エレピの挿入もセンスが良い。カルロス・サンタナの鋭角的なギターをフィーチャーした“It's About That Time”は既発ながら、今回はロング・ヴァージョンで収録。それぞれの原曲も追収録した日本盤はオリジナルとの聴き比べができる入門者仕様でもある。もう一方は『On The Corner』(72年)のセッションをコンプリートしたCD6枚組のボックス・セット。表題曲の未発表マスターはもとより、約18分も続く“One And One”などは鼻血モノ。ファンク・ファンは当然のこと、後期キング・クリムゾン好きにもオススメだ。
▼このたびリリースされたマイルス・デイヴィスの作品を紹介。