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第232回 ─ Manu Chao

連載
NEW OPUSコラム
公開
2007/10/25   23:00
ソース
『bounce』 292号(2007/10/25)
テキスト
文/鈴木 智彦

ホントに待ってたぜ、兄貴! 6年ぶりのニュー・アルバムは熱き血潮が渦巻くアグレッシヴなロック盤だ!!


  マヌー・チャオ。父親はスペインのケルト民族の地であるガリシア地方出身、母親はフランスのバスク地方出身。ガリシアとバスク、共に素晴らしい固有の民族音楽文化を持つことでも有名で、両親から受け継いだ豊かな音楽文化が彼の血のなかで混じり合い、さらにその血が世界中の音楽文化と混じり合うことを強烈に欲し続けている・・ぼくはそのような感覚を彼の作品や活動から受け続けてきた。南フランスからスペインはバルセロナに活動の拠点を移して以降、ここ数年の彼はさらにその傾向に拍車を掛けているように思える。スタジオにこもって作品を作るという活動よりも、パンクからラテン全般やレゲエまでを軽々とこなす異能集団のバンドを引き連れて、世界中を旅するようにライヴ・ツアーして回ることに重きを置いてきた、と捉えてもいいだろう。結果として今回のニュー・アルバム『La Radiolina』は、スタジオ録音作品としては実に6年ぶりのリリースとなった。 

 レゲエ(ダンスホール・レゲエとルーツ・ロック・レゲエの折衷)とさまざまなラテン音楽をミックスした、強烈にして唯一無二のハイパー・ミクスチャー・ロック。彼とバンドは前作『Proxima Estacion : Esperanza』とそれに続くライヴ盤『Radio Bemba Sound System』でその路線をとことん突き詰め、世界中から喝采を浴びた。それに対して、新作ではレゲエ色が(まったく影を潜めたわけではないものの)スパイス程度に抑えられ、まるでマノ・ネグラ時代に先祖返りしたかのようなアグレッシヴにロックするサウンドに乗せて、(これは不変の)きっぱりとしたアンチ・グローバリゼーション・メッセージを叩き付ける!という作品に仕上がっている。特に先行シングル“Rainin In Paradize”のストレートなロック・サウンドの印象が強烈だ。

 クラッシュが『Sandinista!』でめざしたロックとさまざまな異種音楽要素のハイブリッドな融合(混血)、その理想の発展形のような音楽がここにある。スタジオ録音作品ではあるが、この『La Radiolina』に収められた楽曲たちのすべてはライヴの場で世界中の聴衆のエネルギーを吸収しながら、さらに強烈なエナジーを発するハイパー・ライヴ・ミュージックとして奏でられることになるのは必至だ。つまりライヴ体験とセットでこのアルバムは本当の真価を発揮することになるだろう。なので、祈!来日公演!!

▼マヌー・チャオのソロ作を紹介。


2001年作『Proxima Estacion : Esperanza』(Radio Bemba/Virgin France)


2003年のライヴ盤『Radio Bemba Sound System』(Radio Bemba/Virgin France)


98年作『Clandestino』(Virgin France)