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第206回 ─ Tommy Guerrero

連載
NEW OPUSコラム
公開
2007/09/13   23:00
ソース
『bounce』 290号(2007/8/25)
テキスト
文/山西 絵美

デビュー10周年を迎えた男が原点に立ち返る

 ファースト・アルバム『Loose Grooves & Bastard Blues』のリリースから今年で10周年を迎えたトミー・ゲレロが、ソロ5枚目となる新作『Return Of The Bastard』を完成させた。タイトルからも窺えるとおり初作の続編的なアプローチを試みたそうで、即興性の高い自由なフィールに包まれた仕上がりとなっている。それは、時折挿入される鼻歌風味のユルいコーラスや口笛からも確認することが可能。また、最近ではトーマス・キャンベル監督(新作のアートワークは彼によるもの!)の映画のためだけに結成されたスプラウト・ハウス・バンドや、レイ・バービーとのブラックトップ・プロジェクトなど課外活動が盛んだったゲレロだけに、混じりっけなしの魅力を存分に味わえるあたりもファンにとってはたまらないはずだ。枯れたギターの音色と洒落た打ち込みの融合から生まれるムードは、気分次第でアーバン系/ワイルド系のどちらにもハマりそうだが、一貫して色気に溢れている点がアルバム最大の特徴だろう。そう、原点回帰と謳いながらも10年間の歩みがしっかりと刻まれたダンディー盤なのである。

 なお、廃盤だった〈Loose Grooves~〉も、ジャケをピンクに新装してリイシューされたばかり。まもなくブラックトップの新作も完成するとのことで男の旅路はまだまだ続く模様だが、まずはこの機会にゲレロの出発点と現在地を一本の線で結んでみてはいかがだろうか?