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第205回 ─ MESHELL NDEGEOCELLO

連載
NEW OPUSコラム
公開
2007/09/13   12:00
更新
2007/09/13   17:38
ソース
『bounce』 290号(2007/8/25)
テキスト
文/出田 圭

孤高の魂で万人の心を震わせる最強の全身芸術家……ミシェル・ンデゲオチェロの歩みを振り返ってみよう!!


  93年のデビュー以来、変わり続けて後戻りせず、またどの時点においても〈ミシェル・ンデゲオチェロ以外の何か〉であったことはない。デヴィッド・ギャムソンやクレイグ・ストリートらの気鋭と組んだ過去作品はもちろんのこと、並みいる鬼才が入魂で臨んだフェラ・クティへのトリビュート盤〈Red Hot+Riot〉でも彼女自身がくっきり。また、映画「永遠のモータウン」でパフォーマー兼インタヴュアーを務めたときは、そのファンぶりを率直かつ謙虚に表しながら役割をまっとうしていた。たとえ表現者として鋭く切り立つ場所にいても、周囲にバリアを張り巡らせたりはしない。孤高で無愛想に見えたりもするミシェル・ンデゲオチェロは、人々の繋がりや感情のありように、生身の視線を注いできたアーティストでもある。

  『The World Has Made Me The Man Of My Dreams』と題された今回の新作は、2006年に発表された小品『The Article 3 EP』を土台にしたセルフ・プロデュース盤。オリジナル・フル・アルバムとしては『Comfort Woman』以来4年ぶりだ。この新作での彼女は、前々作『Cookie : The Anthropological Mixtape』あたりから表出していたサイバー感覚にいっそう踏み込むかのよう。ファンクやジャズやロックやレゲエやアフロが絡まり合ったナマの質感が、エレクトロな電脳世界を自在に揺さぶる。そこにあるのは〈サイバネティック・オーガニズム〉とでも呼びたくなるスリリングな音だ。一昨年のジャズ・プロジェクト=スピリット・ミュージック・ジャミアで共演したブランドン・ロスをはじめ、クードゥーのディアントーニ・パークスや大物パット・メセニーも参加。ウム・サンガレとサンディスワ・マズワイがアフリカン・ヴォイスを響かせれば、サイ・スミスが持ち前のサイバー・キュートな歌声で浮遊する。清澄アンビエンスからパンキッシュなデカダンスまでのめくるめく展開は、ヴァーチャル空間の数歩手前でリアルなエモーションを呼び起こす。振り幅は大きくとも、まぎれもないミシェル・ンデゲオチェロの音楽。彼女自身も近年にコラボしたサー・ラーや、デトロイトの鬼才・ワジードらにも比肩するビリビリとした先鋭ぶりだ。放たれるヴァイブスはこれまでで最強クラスだが、それでも彼女、どこかに落ち着いてしまったりなどまだまだありえない。とりあえず敬意を込めて言わせてほしい──なんてヤツだ!

▼『The World Has Made Me The Man Of My Dreams』に参加したアーティストの作品を一部紹介