いろいろなカテゴリーとかキーワードが飛び交うアンダーグラウンド(?)なダンス・ミュージック村のあれこれ。だけど、そんな村の掟が面倒臭いからってスルーしてしまうにはもったいないくらい、心地良い音楽がここにはあるのですよ……ってことで勝手にいろいろ選んでご紹介しましょう!
〈イタロ・ハウス〉〈コズミック〉〈バレアリック〉〈ディスコ・ダブ〉……ちょっと気の利いたCDショップならダンス・コーナーの片隅でちょこちょこ見かけるキーワード。そのスジに詳しい人にはもう説明不要でしょう。だけど、門外漢にはなかなか伝わりにくいこれらの言葉に、あえて共通項を見い出すならば、ちょっぴりレフトフィールドでストレンジ、それでもってオブスキュアな、ディスコを起源とするダンス・ミュージックとでもいいましょうか。もしくは、何かがポロッとハミ出しているのにやけに堂々としているような感じとでもいいましょうか。レコード屋さんで熱心に12インチ・シングルを買ったり、多くの人が気にも留めないような中古盤を延々とチェックし続けているような人でなければなかなか実態を掴めなかったりするんですが、最近はようやくCD作品でもちらほらと良い(酔い)モノが揃ってきたのでこの場でちょっぴり紹介してみましょう。その昔に流行った〈レア・グルーヴ〉みたいにはっきりとした定義をするのがなかなか難しいものなので、あえて細かく区分けして説明はしません。この先には深く果てしないアンダーグラウンド・ディスコ獣道が広がっているので、これを読んでから実際に聴いてみて〈あー、こんな感じね〉ぐらいに思っていただければ良いと思いますよ。
(櫻井 誠)
STUDIO 『West Coast』 Information(2007)
マウンテン・オブ・ワンとツアーしているという人たち。楽園直行なギター・フレーズを聴いたら最後、社会復帰はほぼ不可能な2007年風味のバレアリック・アンセム“Life Is A Beach”を収録。右手に葉巻、左手にはトロピカルなカクテル、目の前には白い砂浜な感じで……。
(櫻井)
SORCERER 『White Magic』 Tirk(2007)
スペイシーでバレアリック的なサウンドスケープが溶けるほど気持ち良い一枚でございます。チープなリズム・ボックスとギター、それとシンセだけで作られたようなシンプルな構成と、微妙に揺らぐような音の雰囲気は暑気払いにもってこいかもしれません。
(櫻井)
MAP OF AFRICA 『Map Of Africa』 Whatever We Want(2007)
DJハーヴィーとトーマス(ラブン・タグ)によるユニットのアルバム。前者のミックスCDシリーズ〈Sarcastic〉と後者がビースティ・ボーイズのリミックス仕事で見せたサイケ感覚を掛け合わせたような、どう聴いてもブルージー・サイケ・ロックでダンス要素は皆無なんですけど。
(櫻井)
『Sunkissed -Mixed By G-Ha And Olanski』 Smalltown Supersound(2007)
ノルウェーのレーベルからのコンピ。ほぼ北欧の人たちで固められた内容ながら、驚くべきハイ・クォリティーぶりで、よっぽど冬はすることがなくて音楽ばっかやってるのかな?と思ってしまいます(失礼)。北欧ディスコ入門編としてどうぞ。
(櫻井)
BJORN TORSKE 『Feil Knapp』 Smalltown Supersound(2007)
まるでアバのメンバーのどれかみたいな面構えですが、長いキャリアと地味なオタク人気を誇るビョ~ンさんの、レーベル移籍後の初アルバム。ディスコ・ダブ以降のハウスが柔軟剤入りのふわふわしたダブに包まれた味わいは、まるで幸せな二度寝のようです。
(酔鮫)
『Port of Notes Joint Adventure 2』 クルーエル(2007)
そもそものスタンスがオリジナルのバレアリックに通じる彼らですから、アコースティック曲もダンス・トラックも均等に聴かせて当然なのです。このリミックス・アルバムではイジャット・ボーイズやリンドストロム&プリンス・トーマスと流石の人選をアピール。
(酔鮫)
『Tirk 01』 Tirk(2007)
イジャット・ボーイズとも縁深いレーベルからの初コンピ。いわゆるサンプラー的な内容でいろんなタイプの曲が入っていますが、共通項はやっぱり〈ストレンジ・ディスコ〉感。レイ・マンもネタ使用したタントラ曲のイジャット・ボーイズによるリエディット・ヴァージョンを収録しています。
(櫻井)
『Compost Black Label Series Vol. 2』 Compost(2007)
コンポストの〈黒ラベル〉モノを集めたコンピ。いわゆる大人気のテック・ハウスに分類されるような音ですが、エレクトロ具合とかディスコ具合とかがイタロ~ミュンヘンを中心とするオールド・ユーロ・ディスコに影響されているというのは考えすぎでしょうか。
(櫻井)