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第21回 ─ セミ通信

連載
踏 切 次 第
公開
2007/08/30   17:00
更新
2007/11/08   17:29
ソース
『bounce』 290号(2007/8/25)
テキスト
文/次松 大助

次松大助が見つめる、とある町の日常──

 大阪、今年は去年の2倍なんだそうです。セミの数が。

 鳴き声は確かにうるさいですが、もし鳴かないとしたらすごく気持ち悪いです。毎年何万匹も発生して、モゾモゾ樹に登って鳴きもせず数週間後にバタバタと死んでゆく。不気味です。

 セミの成虫の命はよく7日程度と言われますが、それは飼育が難しいためらしく、 実際の野生のセミは3~4週間程度生きるらしいです。幼虫時代は土の中にいますが、ずっと寝ているわけではないので、昆虫としてはかなり長い人生ではないでしょうか。


 セミの素晴らしいところは、他の生物にとってほぼ無害だというところです。セミは幼虫から成虫まで樹液を吸って生きるそうですが、樹液と言っても栄養たっぷりの師管から吸うのではなく、ほとんど水分の導管から栄養をもらって生きているそうです。そのように無害な為か、セミというのは身近な存在の割にあまり研究されていない昆虫のようです。

 小学校の頃、友達がセミを食べたのを思い出して、セミって食べられるんだろうか、と思って調べてみると、セミの抜け殻は中国では〈蝉退(せんたい)〉 という痒み止めや解熱の漢方薬として用いられるらしく、成虫も一部の地区では〈セミ味噌〉なるものになるらしいです。日本でも、沖縄出身のダチョウ倶楽部の肥後さんが子供の頃にセミを焼いて食べていたという話をしていたそうで、曰く「腹腔がおいしい」らしいです。そう言えば友達もそんなことを言っていたような。

 ちなみに、セミの鳴き声がうるさい国は他にあまり無いらしく、今年の8月末頃から大阪で開催される世界陸上では、外国から来た選手や関東以北(関東よりも関西の方がセミが多いらしい)から来た選手がセミの鳴き声にびっくりするのでは?と心配する研究者もいるそうです。

 余談ですが、ウルトラマンに出てくるバルタン星人の原型は(事実は知りませんが)セミ人間という怪獣(宇宙人?)なんだそうです。

PROFILE

次松大助
99年に大阪で結成されたオリジナル・スカ・バンド、The Miceteethのヴォーカリスト。バンドはニュー・シングル“TOMORROW MORE THAN WORDS”を9月5日にリリース予定。そして10月にはいよいよニュー・アルバムが登場! 詳細は〈www.miceteeth.net〉をチェック!

NICK DECARO
『Italian Graffiti』

Blue Thumb/MCA
 数年前の夏にメンバーの啓ちゃんから借りて毎日2回ずつくらい聴いてました。いまだに返していないですが。夏のアッパーではない楽しみ方ですよね。