時代を超えて輝き続ける、素晴らしき〈Ho!楽〉名盤との遭遇
今月はこのスペースでタイムスリップするよ! まずは京都の伝説的ロック・バンド、村八分の最初期(71年)に録音されていた音源を収録した『くたびれて』。長い間入手困難となっていた音源なので嬉しいリイシューだね。サイケでアングラでルーズなロックンロールは危険すぎるんで、気の弱いお子ちゃまは要注意! お次は、当時の日本のアングラ文化に大きな影響力を及ぼしていたリアル・ヒッピー、南正人が73年に発表した『南正人 ファーストアルバム』。細野晴臣の初ソロ作『HOSONO HOUSE』と同時期の録音で、当時としては画期的だった自宅録音というのも細野作と同様。バックはその細野らキャラメル・ママの面々が務めていて、ザ・バンドばりにレイドバックしたルーツ・ミュージックを聴かせてくれる。今作に立ち込める濃ゆ~い中央線文化は現在、ゆらゆら帝国やハナレグミ、高田漣らが引き継いでいるわけだね。翌74年にそのキャラメル・ママは、服部良一のスタンダード曲を雪村いづみが歌うという企画アルバム『スーパー・ジェネレイション』にて全編バック演奏を担当。彼らの洗練されたファンキーなアレンジと演奏、そして優美な雪村の歌声によって〈銀座カンカン娘〉〈東京ブギウギ〉といった服部メロディーが輝く名盤だよ! 最後はふたたび京都。坂本龍一との交流もあったニューウェイヴ・バンド、EP-4の83年作『昭和大赦-リンガ・フランガ1』がリイシュー。〈汗をかかないファンク〉と呼ばれた無機的な精練エレクトリック・ファンクは超クールで、いまこそ聴きたいカッコよさだよ!