7月29日(日)

11:30~
■DEERHOOF @ WHITE STAGE
予報では雨だけど見事に晴れ。前日の苗場食堂でのライヴも大盛り上がりだった、サンフランシスコのアヴァン・ポップ集団、ディアフーフを観る。朝イチだっていうのに、熱狂的ファンが前っつらに待ち構える人気ぶり。セットリストは“Milk Man”に始まり、アルバム『Friend Opportunity』の楽曲を中心としたもので、グレッグの木こりのような激しいドラムとジョンの狂気と美しさを混在させたギター、日本人シンガーのサトミの面白キャラが三位一体となって客足を止める。“Kidz Are So Small”でサトミは小鳥の人形を頭に乗せ、名曲“Panda Panda Panda”ではほのぼのダンス大会。MCでも、グレッグが山を指差して「ホラ、富士山。キレイダネ」と言って客から「違う違う」と突っ込みが入ったり、おもむろにタイム・テーブルを広げて「次、何見ル?」とか聞いたり、終始なごみムード。ラストには「長イ曲デス」と言って壮絶なメドレー&ジャムを披露して大喝采でした。*田家
14:10~
■toe @ WHITE STAGE
自分たちの音楽を求めて地道に活動を続けた日本のポスト・ロックの雄、toeが、ついに〈WHITE STAGE〉にお目見え。雨粒ちらほら落ちるなか、上々の客入り。ファンとしては嬉しい限りである。冒頭、HUSKING BEEのトリビュート・アルバムでタッグを組んだ元Cymbalsのヴォーカリスト土岐麻子と、最新シングルでプロデュースを担当したクラムボンのミトがゲスト参加し、華を添える。それでさらに勢いづいたのか、今日のtoeは絶品だ。もともと演奏力のある彼らだが、音に説得力がある。繊細かつリズミカル。そして何より、自分たちの音楽を伝えようという熱が込もっている。それにつられて、往年のファンも、初体験と思しき客たちも、気持ちよさげに身体を揺らしている。いい光景だ。hirokazuのどこかホワンとしたややウケMC(失敬!)も相変わらず。派手さはなくとも、確かな音を。そんな彼らの気負いのないスタンスが存分に表れた、ステキなステージだった。*小田

17:10~
■クラムボン @ WHITE STAGE
空気も冷え込み、雨はいよいよ本降り。そんななか、クラムボンの登場だ。夕景を彩る色とりどりのレインコート、空には無数のシャボン玉。そんな風景を嬉しそうに眺めつつ、一足早く現れたミトは、「寒くない?」と客を気遣う。1曲目は“Base,Base,Base”。ステージを駆け回りながら唄うミト、デカサン&ジュリアナ扇子で踊る原田郁子。え、いきなりコレ?? ……あまりのギラギラ感に、客は若干引き気味(汗)。でも、これはきっと、寒さを吹き飛ばしてあげようという彼らの優しさなのだ。その後はいつものクラムボン。鉛色の雲に覆われた〈WHITE STAGE〉を、ハッピー・オーラで包み込む。「新潟の地震で被災したみなさんに」とのMCに続き“バイタルサイン”が始まると、感極まったかすすり泣く声も……。もう少し観ていたかった気もするが、間違いなく一服の清涼剤を与えてくれた。終演時、誰かが発した「ありがとう!」という言葉が印象的だった。*小田
17:30~
■HAPPY MONDAYS @ GREEN STAGE
サイレンを合図にして、〈GREEN STAGE〉が昨年に引き続きレイヴ・オン。新曲“Jellybean”からスタートした今回のライヴをざっくり説明するなら〈再結成バンドによる新作中心のステージ〉ってことになるんだろう。でも、それがネガティヴな印象にならなかったのは、新作も過去のハピマン・サウンド=誰もが一発で飛び込めるあのグルーヴが基本になってるから! “24 Hour Party People”や“Wrote For Luck”が演奏されなくとも、あのダルな横揺れビートとベズの振るマラカスさえあれば、そこにマッドチェスターが出現するのでした。とは言えショーン・ライダー氏、ハイネケン片手に終始座り込んで歌うのは勘弁してください……。*澤田
18:50~
■BATTLES @ WHITE STAGE

入場規制がかかるほどの大混雑となった会場から熱い視線が注がれる中、通常のバンド編成の楽器に加え、無数のエフェクターやサンプラー、そしてMac2台という複雑極まりない機材がステージ上に用意されると、“Race:Out”からライヴは開始。滝のように汗を流しながら、バトルス特有の変拍子を一糸乱れることなく叩き出すジョンのドラムの上に、他のメンバーが細かいギターやベースのリフをその場でサンプリングして幾重にも丁寧に重ねていく。まるで針の穴に糸を通すような作業を繰り返して一つの曲を形作っていくその様は、ただ固唾を飲んで見守るしかないほどスリリングだ。そして並々ならぬ緊張感が場内を支配する中、“Atlas”でタイヨンダイのヴォーカルが入ってくると、堰を切ったように歓声が上がる。そう、今の彼らはスリリングなインスト一辺倒ではない。その以前より遥かに緩急がついたライヴは、入場規制も納得の完璧な内容だった。*小林
20:30~
■V∞REDOMS @ WHITE STAGE
ギター7本を合体させた自作打楽器〈セヴンナー〉2台(つまりギター14本!)をEYEがギャギャーンと打ち鳴らし、全1曲60分のトランス儀式がスタート。グルーヴの舵を取るトリプル・ドラムがアクロバティックな展開で楽曲の風景をバキバキと変えて行き、そこにEYEの奏でる様々なサウンドが緻密に絡み合う。ドラム、電子音、無限上昇音、セヴンナーの轟音、YOSHIMIちゃんの歌、EYEの絶叫。ステージ上から発せられるあらゆる音が、記号のような明快さでポンポン飛び出して来るのが気持ち良い。そして、それらの音の塊を足がかりにして、バンドがひょいひょいと上空に登っていく……そんなイメージが頭に浮かぶ。壮絶な演奏なんだけど、ものすごく爽快。サイケデリックを超えてスポーティ。延々先祖帰りを続けるようなV∞REDOMSの音楽遍路も、いよいよすごいところに来たなあ、と。*澤田
21:30~
■CHEMICAL BROTHERS @ GREEN STAGE

最終日のヘッド・ライナーは、もはやフジ常連の風格すら漂うケミカル兄弟。前回、2002年の出演時も、映像を駆使した未来派な演出で楽しませてくれた彼らだが、今回は、その豪華なセットをさらにスケール・アップ。音と映像、レーザーなどの照明群がシンクロしまくった一大オーディオ・ヴィジュアル・ショーを展開し、集いに集ったダンス・クレイジーを腰が砕けるほどに躍らせ続けた。「クラブ系はライヴが弱い」なんて言われたのも今や昔。もはや巨大ステージでは、ロック・バンドよりも、彼らのようなダンス・アクトの方に分があるなあと感じ入った次第。“Do It Again”に“Hey Boy Hey Girl”“Star Guitar”と新旧のヒット曲が接続されていく中、オールドスクールなテクノ好き(=筆者)が最も狂喜したのは、本編ラストに繰り出された“Chemical Beats”。宴はまだまだ終わらないとばかりに、不健康なアシッド音がビキビキと苗場の山に鳴り渡ったのでありました。サマー・オブ・ラヴよ永遠なれ! *澤田
22:20~
■JUNO REACTOR @ WHITE STAGE

ケミカル・ブラザーズの真裏だったということで、グレー・ゾーンの客が少なく、コアなファンが集まっている印象だったジュノ・リアクターのステージ。彼らの奏でるダークでトライバルでトランシーなサウンドに合わせて、光るヨーヨーのようなものを振り回して踊る人も数多く見受けられ、まるで野外レイヴ・パーティーのような雰囲気さえ漂っていた。曲間にヴォーカリストが「月を見て!」とMCするので見上げると、そう、この日は満月。場内の妖しげな雰囲気には更に拍車がかかり、ズブズブと深いところまで潜って行けそうな彼らの極上トランス・サウンドに、深夜0時過ぎまで心地よく身を委ねることができた。*小林
00:45~
■サイプレス上野とロベルト吉野 @ ROOKIE A GO-GO

最終日深夜の〈新人ステージ〉前……とは思えないほどのオーディエンスがひしめき合う中、鳴り渡るサタニックなへヴィ・メタル。上半身裸の吉野が客席に酒を吹きかけるのを合図に、横浜発の1MC&1DJ、サ上とロ吉のステージがスタートした。2枚使いで聴かせるイントロダクション、そしてパーリー狂いの夜遊び賛歌“LET'S GO 遊ぼうZE”。ピカソっぽいキュビズム柄のブルゾンという、いつにもましてヤバい服でキメた上野が、百戦錬磨のマイクさばきでフジロッカーを大胆にコントロール。“バウンス・祭”では〈THE PALACE OF WONDER〉中の客が垂直ジャンプで揺れまくる。TARO SOULとDEEP SAWERの横浜クルーも客演で大いに盛り上げ、“ヨコハマジョーカー”“Bay Dream ~フロム課外授業~”のアンセム2連発でちょっとウルッとくるほどの感動的な締め。ヒップホップ・アクトにとってはアウェーに思えるフジロックも、彼らにかかれば完全にホーム・グラウンド。集結したファンのあり余る期待に余裕で応える、貫禄たっぷりのステージングだった。来年はマジで〈GREEN STAGE〉登場!? *澤田
▼文中に登場したアーティストの作品を紹介