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第127回 ─ メロディック・パンクの逆襲!!

連載
360°
公開
2007/07/12   16:00
更新
2007/07/12   17:48
ソース
『bounce』 288号(2007/6/25)
テキスト
文/渡辺 貴仁


  カウンター・カルチャーとしての役割を担ってきたパンクが、メインストリームの音楽として市民権を得た90年代中盤。この時期、グランジ/オルタナ・ブームと入れ替わるようにして、グリーン・デイやオフスプリング、バッド・レリジョン、ランシド、NOFXなどなど、〈メロディック・パンク〉ないしは〈メロコア〉と呼ばれる連中がアンダーグラウンドからメジャーのフィールドへと進出を果たした。彼らは瞬く間にブレイクし、70年代以来の一大パンク・ムーヴメントを構築。その後、パンクの発展形とも言えるエモ・ブームや、ルーツに回帰したガレージ・ロック・リヴァイヴァルの波が押し寄せたこともあって、流行としてのパンクは徐々に衰退の一途を辿ることとなる。しかし、まるで煮えたぎるマグマのように、混沌とした現在の音楽シーンの裏側でパンクはふたたび爆発の瞬間を待ち構えているのだ!!

  前置きが長くなったが、いまをときめくマイ・ケミカル・ロマンスやフォール・アウト・ボーイ、さらにゼブラヘッドまでがツアー・サポートに抜擢したというドイツはハンブルグ発の4人組=ワン・ファイン・デイは、そんな〈メロディック・パンク復権の予感〉を大いに抱かせるバンドである。元ドゥノッツのJDポッグマンをプロデューサーに迎えたニュー・アルバム『Damn Right』は、90年代のメロディック・パンク勢が内包していた豊潤なメロディーと初期衝動を継承しつつも、メタルやハード・ロックをはじめとするさまざまなエッセンスを吸収→昇華し、完全なるオリジナリティーを獲得。加えてシンディ・ローパー“She Bop”をとことんハイテンションにカヴァーしてみせるなど、世界に通用するメジャー感も注入された文句ナシの仕上がりだ。ちなみに、日本盤にはBEAT CRUSADERSのカヴァー“Tonight, Tonight, Tonight”も追加収録。〈楽しい時間はすぐそばにある〉がバンドの理念だそうだが、そんな〈時間〉がまさにいま世界を席巻しようとしている!!

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