ピエール瀧との電気グルーヴ、川辺ヒロシとのInK、あるいは週末のDJ業……さまざまなかたちでハイ・エナジーな活動を繰り広げるテクノ・マエストロ、石野卓球。2007年下半期、いよいよ彼が本格的に動き始めます。bounce.comでは、そんな卓球氏の超ロング・インタビューを、4週間に渡ってお届け! 気になるアレコレについて毎週たっぷりと語り下ろしていただきます。ついに迎えた最終回のトピックは、恒例の屋内レイヴ〈WIRE07〉の展望と、今後の活動予定。電気グルーヴの新曲もいよいよ登場するとか……? それでは行ってみましょう!
──今年の〈WIRE〉はどんな感じで。
石野 うん。ラインナップも発表されて。地味だとは言われつつ、でも結構楽しめるラインナップになってると思うよ。営業トークでもなんでもなくて。
──例年とは違う意気込みとかあるんですか。
石野 今までとは、ちょっと流れを変えていきたいと思ってて。いわゆる「大箱レイヴでどかーん」っていうだけじゃない方向というか。コッツェ(DJ KOZE)とかスピリット・キャッチャーみたいなアーティストって、これまでなら、なかったと思うんだよね。いま全体的なシーンの流れが変わってきてる。ダンス・ミュージックってすごく多様化してるでしょ。ミニマルものとか、モーターやブラック・ストロボみたいなロック寄りのものとか、そういうところをもっと出していきたいと思ってる。
──テクノの位置づけって、〈WIRE〉を始めた当初とかなり変わってきてるでしょ。
石野 うん、変わってきてる。
──テクノをすごく狭い範囲で捉えると衰弱してるみたいにとられがちだけど、実際はいろんなジャンルの音楽に溶け込んでるし。
石野 うん、そう。いまテクノっていうとさ、すごくハードなものとして捉えられてる。
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──それ、(ケン・)イシイ君も言ってたね。ヨーロッパでは、いまテクノっていうと、いわゆるハードコア・ミニマルみたいなものを指すようになっていて、すごく狭く捉えられてる。だからリッチー・ホウティンみたいなのはテクノとは言わないらしい。
石野 そうそう。あれはミニマルなんだよ。
──つまりテクノっていう音楽をもっと幅広く多様性のあるものとして定義し直したいという意図があると。
石野 まあテクノじゃなくていいんだけど。便宜上テクノって言ってるだけでさ。ミニマルもロックっぽいのも一緒くたにしてテクノって言ってるわけでね。