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第164回 ─ UK TREASURE BOX

連載
NEW OPUSコラム
公開
2007/07/05   16:00
更新
2007/07/05   18:00
ソース
『bounce』 288号(2007/6/25)
テキスト
文/英国紳史

フェアポート・コンヴェンションとペンタングルの魅力が詰まった2つの宝箱を発見!!

 英国を代表する偉大なトラッド・バンドのボックス・セットがリリースされた。内容に触れつつ、少し両バンドの比較なんてやってみようか。フェアポート・コンヴェンションはアメリカのフォーク・ロック的スタイルから出発し、独自のエレクトリック・トラッド路線を築いたバンド。『Live At The BBC』は彼らの68~71年までのBBCにおけるセッション音源集で、徐々にみずからの志向性を確立していく過程が克明に記録されている。片やペンタングルは、トラッドをベースにフォーク/ジャズ/ブルース/インドなどの要素を混合させたハイブリッド・フォーク・バンド。『The Time Has Come 1967-1973』はアンソロジー集で、未発表ライヴ音源も多数収録。

 さて、両者の音楽性についてだが、その先進性に着目して同時代ロックのエッセンスを取り込もうと意識したフェアポートと、多様なスタイルを吸収して特異な音作りを実践したペンタングル。貪欲さとチャレンジ精神のレヴェルは五分五分か。次は演奏陣について。前者にはリチャード・トンプソン、アシュリー・ハッチングス、サイモン・ニコルらがおり、後者にはバート・ヤンシュ、ジョン・レンボーン、ダニー・トンプソンらがいた。いずれも英国を代表する名手だ。当然ながら、実力レヴェルは甲乙つけがたい。最後にフロントの女性について。前者のサンディ・デニー、後者のジャッキー・マクシー、英国が生んだ可憐な花二輪。2人とも最高級歌手である(全然比較になってない……)。何はともあれ、英国音楽ファンは素通り厳禁!!