レイクォンのアフターマス移籍、そしてSRCからの本隊復活……と華々しい話題が続くウー軍団。ただ、そうでなくてもアンダーグラウンドな形で頻繁なリリースが重ねられ、その弟子たちもNYやUSに留まらない範囲で増加しまくっていることを見逃してはならない。GZAやゴーストフェイスの息子たちもデビュー済みだし、〈一族は200人いる〉というRZA一流のコメントもあながちハッタリではないのだ。以下ではすべて今年に入って登場した軍団作品を紹介しておこう。ウーをなめんなよ!!
HELL RAZAH 『Renaissance Child』 Nature Sounds
サンズ・オブ・マンやブラック・マーケット・ミリーシャの構成員として10年以上のキャリアを誇る実力者が満を持して放った初ソロ・アルバム。MF・ドゥーム作のジャズ・トラックにてタリブ・クウェリと余裕で絡むなど、豪華なコラボもアリ。ハードコアなウー流儀を継承しつつも個人の色を前に出した快作だ。
FREEMURDA 『Let Freedom Reign』 Iceman/X-Ray
ポッパ・ウーの息子でRZAとGZAの従兄弟にあたるフリーマーダー。7年に渡る客演活動を経ての初ソロ作にはRZAの手掛けたトラックもあるが、バウンシーなビートにルーズな語り口で挑む南部ノリの楽曲が快調。ヤング・ジーズィのビートを強奪した“Let Your Arm Swing”などに次世代感が滲む。これは熱いでしょ!
WISEMEN 『Wisemen Approaching』 Babygrande/STRIDING
RZAの2003年作『Birth Of A Prince』ぐらいから頭角を表してきたMC兼トラックメイカーのブロンズ・ナザレスが、弟のケヴラー7らと組んだユニットの初作。ブロンズのソロ作『The Great Migration』(2006年)でもお披露目されていたが、ここでもペシミスティックなウー節を軸に手堅い作風を聴かせている。
CILVARINGZ 『1』 Ringz & Partners/Tha Shiznit
モロッコ系オランダ人という(ウーでは)異色のMC兼トラックメイカー、シルヴァリングズ。メソッド・マンら一軍のスターたちが大挙サポートしたこの初ソロ作では、ほぼMCに徹して獰猛なキャラをアピール。『Ghost Dog』でのRZA仕事を思わせる自作ビートの黒さもいいけど、コイツはとにかくラップがエグい!