
ここにきて、今夏に6年ぶり5枚目のオリジナル・アルバムを放つ!という真実味のあるニュースも舞い込んできたウータン・クラン。もちろん軍団の特攻隊長だったオール・ダーティ・バスタードは2004年に天に召されたので、スタメンの9人全員が揃うわけではないが、それでもウータンのカムバック劇を身震いするほど楽しみにしているのは、何も熱心なウー信者だけではないはずだ。来たる本隊の再結集に向け、最近その周辺が騒がしくなっているのもまた事実。昨今〈ウーの申し子たち〉がポコポコと好盤を生み落としているなか、もっとも重視すべき作品と言えるのが、総帥RZAが監修した『Afro Samurai』である。これは今年初頭に海外リリースされた、「AFRO SAMURAI」のオリジナル・サントラだが、その日本盤もこのたび登場したばかり。そもそも「AFRO SAMURAI」とは〈サムライ活劇meetsブラック・カルチャー〉を標榜するTVアニメ・シリーズのことであり、イラストレーター・岡崎能士のマンガを原作にする〈仇討ちモノ〉だ。その舞台設定のユニークさや俳優のサミュエルL・ジャクソンが主人公の声を担当したことなどもあって、同作はすでにUSを中心に大きな話題となっている(サミュエル主演で実写映画化の予定もあり)。また、逆輸入という形で、近くWOWOWにて本邦初オンエアもされるため、例えば何年か前にTV放送された〈サムライ活劇meetsヒップホップ〉の先駆け的アニメ「サムライチャンプルー」のファンならとりわけ必見だろう。
……と、形式張った前置きが長くなったが、とにかくこのハードボイルドな剣客アニメのサントラを手掛けたのが、ウータン一族の長、RZAなのだ。RZAといえば〈The Way Of The Samurai〉という副題を持つ映画「ゴースト・ドッグ」で初めてフィルム・スコア制作にあたり、その後も「キル・ビル」など多くの話題作を担当。いまや〈そっち系〉ムーヴィーには欠かせない音楽プロデューサーのひとりとなっているわけで、ヒップホップを強くイメージさせる「AFRO SAMURAI」のスコア~サントラを彼が手掛けるのも、当然の帰着のように思える。で、書き下ろしの新曲だけを収めたサントラには、Q・ティップやタリブ・クウェリ、ビッグ・ダディ・ケインらがゲスト参戦。まあ、それはそれで大きなトピックだろうけど、ウータン・ファンならばRZAの苦々しいラップとドープな音像に酔いしれ、さらにGZAやトゥルー・マスター、フリーマーダー、ストーン・メッカら〈ウーの申し子たち〉の登場シーンにこそビリビリと痺れるべし! また、サントラには劇中のセリフや背景音楽などもふんだんに収められているので、臨場感&緊張感たっぷりに「AFRO SAMURAI」の世界観に浸れる内容でもある。
さあRZAよ。そしてウータン・クランを名乗る8人の剣客たちよ。次は一丸となり、お前たち全員がその手に握る〈ウータン・スウォード〉でヒップホップ・シーンに斬り込む番だ!
▼RZAの手掛けたサントラを一部紹介。