次松大助が見つめる、とある町の日常──
最近、ベランダでよく考える二つのテーマについて紹介します。
まず一つめは〈三次元〉(縦、横、高さのいわゆる3D)に次ぐ〈四次元〉という空間で、四つめの尺度に、実は意外にも〈時間〉という軸をあてるのが適当なんじゃないか、という説です。だからもちろん、世界は三次元じゃなく四次元だということですが、仮に世界(宇宙とか自宅)がエレベーターのように〈時間の方向〉に光の速さで動いているとすると(……と、ここまで来てふいに辞書で四次元という単語を引くと、何と「三次元に時間を加えたもの」と、既に書いてありました。知らなかった。結構画期的な発見をしたつもりだったので超落胆ですが、せっかくなので辞書を見なかったことにしてもう少し続けると)例えば「光速に近づくほど時間が遅れる」というようなことも、絵的にかなり分かり易く説明できます。あと、素人の考えなので欠点があるかも知れませんが、光の速さが一定ということも分かり易くなりそうです。残念です。
もう一つは〈因果律〉についてです。例えば左から来たA車と直進してきたB車が、Cという地点で接触事故を起こした場合、その原因は無限に溯ることができて、A車の運転手が前の晩少しだけ多くお酒を呑んだためにすっきり目覚めて、いつもより少し早起きしたからその時分にC地点を通過した、とか、B車の運転手が先週上司に連れて行かれたおっぱいパブのホステスが昔好きだった女性に似ていたことを思い出しながら運転していた、等々、色んな物、人、出来事、気候が重なった結果としてその事故が起きたと言えます。逆に、無事故というのも色んな原因が折り重なって〈無事故が起きた〉というふうに解釈出来ます。そうすると、先祖から子孫に至るまでのすべての因果(原因と結果)が絡み合って繋がっていることになるので、もし人類最後の一人が笑って最後を迎えたら、それは全人類が拍手して喜ぶミッション・コンプリートの瞬間、という考え方です。ただこれはベランダから脱出しにくい空想理論で、あまり役に立たなさそうですが。
さて、もう春です。日に日に川のカメの数が増えて、恐いもの見たさによく散歩します。
今月のBGM
THE BOSWELL SISTERS
『Nothing Was Sweeter Than The Boswell Sisters』
Phantom
福岡のテレビ局のお兄さんとお姉さんに貰ったレコード。ジャケットで選んだらみごとに的中で、よく聴いています。30年代前半のジャズのコーラス・グループで、ヌルッとしたハーモニーがくすぐったいです。
PROFILE
次松大助
99年に大阪で結成されたオリジナル・スカ・バンド、The Miceteethのヴォーカリスト。4月25日には、東京・吉祥寺のStar Pine's Cafeにて〈PIANO TO UTA vol.2〉と題したソロ・ライヴが開催決定! その他の最新情報はオフィシャル・サイト〈www.miceteeth.net〉にて。