オーストラリアのシンガー・ソングライターが続々と注目盤をリリース!
ビューティフル・ガールズ、マット・コスタ、ウィル・コナー、ジョシュ・オーウェン、ザヴィエル・ラッド――枚挙に暇がないほど、ここ数年オーストラリア出身のシンガー・ソングライターが人気を集めている。スピードと合理性を重視する社会への反動として現代人が一斉に唱え始めた〈ロハスな生活〉に、これらの音がマッチして……な~んてもっともらしくこのブームを解釈することは容易いけれど、くだらない分析はさておいて、彼らの奏でる大らかなサウンドが私たちをトロけさせているのは疑いようのない事実だ。そんな同地のシーンに目を向けさせた張本人のひとり、ジョン・バトラー(写真左)率いるトリオが3年ぶりの新作『Grand National』を完成させた。プロデュースを手掛けたのはマリオ・カルダートJr。そもそもジャック・ジョンソンと飛行機でいっしょになったバンド・メンバーが、ジャック本人からマリオとのレコーディング話を聞かされたことをきっかけに今回の顔合わせが実現したそう。ブルージーでアーシーなサウンドはこれまでの延長線上にあるものだが、例えば“Daniella”で聴かせる色っぽい歌唱など、ジョン自身の表現力に深みが増している点に注目していただきたい。
さて、ジョンがシーンの基盤を作った人ならば、お次に紹介するピート・マーレイ(写真左)はシーンをさらなる高みへと導いてくれるであろう注目株。本国で2005年に発表されたファースト・アルバム『See The Sun』が、このたび日本でも入手できるようになった。ジョンがマリオなら、こちらはベン・ハーパーやマイケル・フランティを手掛けたエリック・サラフィンをプロデューサーに起用。先述の2人に比べると体感温度はやや低めで爽やかな印象を与えてくれるため、女子ウケも抜群だろう。何よりいい意味でアクのない声なので、場所を選ばずにあらゆる場面で楽しめるはずだ。ボチボチ出尽くした感のある……と思ったら大間違い! オーストラリア勢の快進撃はまだまだ止みそうにない。