3月2日にリリースされた、大滝詠一トリビュート・アルバム『Niagara AUTUMN & WINTER ~Niagara Cover Spcial~』。本作は、季節を感じさせる作品を多くリリースしてきたNiagara Recordsへのオマージュとして、シーズンごとにリリースされるアルバム・シリーズの第三弾〈Autumn & Winter Edition〉です。bounce.comでは、このトリビュート・プロジェクトに参加してくれたアーティストを迎え、トーク企画を展開中。第1回目の□□□(クチロロ)×永山マキ(モダーン今夜)対談、第2回目の曽我部恵一インタビューに続き、第3回目はしおねとだん(湯川潮音&宮川弾)、堂島孝平さんによる対談をどうぞ!
――まずは、お三方それぞれの〈大瀧サウンドとの出会い〉から伺いましょうか。
宮川弾(以下、宮川) ロンバケ(『A LONG VACATION』)を聴いたのが小学校3年ぐらいのときで。その頃、普通の歌謡曲って小学校3年ながらに聴いてて恥ずかしかったんですよね。でもロンバケは、恥ずかしくないなと思って聴いていて。
――歌謡曲は恥ずかしかったということですけど、松田聖子とか大瀧さんの曲を歌ったりしてましたよね。
宮川 そう、聖子ちゃんの“風立ちぬ”はいいなあと思って。で、作曲者を見ると〈大瀧詠一〉ってなってたんで、〈やっぱりね!〉みたいな。生意気な子供ですね(笑)。人生で初めて買ったレコードも『EACH TIME』で。
堂島孝平(以下、堂島) かっこいい~! 僕なんて“俺ら東京さ行ぐだ”ですよ(笑)。
――吉幾三さんのあの曲も十分かっこいいと思います(笑)。歌謡ラップだし。
堂島 まあ、それはいいんですけど(笑)。
――そんな堂島くんはどんな出会いで?
堂島 そうですね、いま考えると“うなずきマーチ”とか、さっき話に出た“風立ちぬ”とか、ラッツ&スターの“Tシャツに口紅”とか、大瀧さんが書いた歌謡曲だったと思うんですよね。そういうのを自然に聴いてた感じですかね。本気でハマリはじめたのは(自分が)デビューしてからなんですけど、当時のマネージャーがロンバケをパワープレイしてたんですよ。で、この音楽はすごくいいなと。でまあ、それが大瀧さんだっていうことを知ってからは、どっぷりハマっていきましたね。
――潮音ちゃんは?
湯川潮音(以下、湯川) 私は、高校に入るぐらいまで、自分から音楽を買って聴くってことをしたことがなくって、18歳のとき、初めて買った日本語のCDがはっぴいえんどだったんですね。そこからそれぞれのソロ作品を聴いてみて、そのなかでもいちばん大きかったのは大瀧さんのファースト・アルバム『大瀧詠一』。何度も繰り返し聴きました。一曲一曲の世界観が凝縮されていて、こういう曲が書けたらいいのになあっていう、自分が音楽を作るようになったきっかけにもなりましたね。
――ところで、大瀧さんご本人と会われたことがある方は?
堂島 僕は、すごく会ってるように思われるみたいなんですけど、実はお会いしたことがなくて。大瀧さんの娘さんにはライヴにもいらっしゃっていただいて、会ったことがあるんですけど、ご本人には会ってないんですよ。
宮川 遺伝子には会ってるんだ。
堂島 そうですね、遺伝子レベルではね(笑)。以前、ナイアガラ・トライアングルの〈Vol.3〉をやるんだったら僕を入れてくれってなにかで書いたら、大瀧さんの耳に入ったらしく、〈勇気があるな〉っていう伝言だけは僕にまわってきましたけど。
宮川 たしかに勇気あるよね。実現できたらいいよね。