――あと、点数に関しては適当にやりすぎましたね。
菊地 そうだね。たいした考えもなくやってたことがすぐにわかっちゃったね(笑)。賞品が出るかどうかも解らず、飛ばしでどんどんやっちゃったんで(笑)。もっと軽い感じで投票してもらって、トラックバックの量が増えれば、質も比例して上がって盛り上がると思ったんだけど。とにかく、俺が上手くやれなかっただけで、企画自体の生命力は失われていないとは思うけれどね。
――今後、なにかやってみたい企画はありますか?
菊地 ゲーム的に面白いものがあんまり思いつかないな。「CDは株券ではない」も、「チアー&ジャッジ」も、どっちもゲーム形式でJ-POPの批評実験をやっているわけだよね。普通のJ-POP批評だったら専門家がいっぱいいるし。夢のある面白い企画がやりたいとは思うけどね。今はアイデアが浮かばないなあ。
――相変わらずCDは売れていない状況で、音楽業界的に夢のある話は少ないですね。06年はジャニーズのKAT-TUNが唯一ミリオン達成したシングルでした。
菊地 俺はやれないけど、ジャニーズが出す新譜を全部聴くっていうのは面白いかもしれない。リリースされるものは全部聴かなければいけなくて、全部に得点と順位をつけると、その人が段々ジャニーズ・マニアになっていくっていう(笑)。タレントのことは知らない人を連れてきて、音楽のことだけで評価させるんだ。そのうち情が移ってきて、「すげーいい曲だ」とか言い出すかもしれないじゃない(笑)。
――それは批評というよりも洗脳に近いですね。反対の感情が出てきてしまうかもしれない。
菊地 あるいは、洋楽専門の音楽評論家さんを連れてきてJ-POPの1位から10位までを聴かせ続けて、レビューと点数を付けさせるとか。アーティストの情報を一切与えないで、純粋に音だけ聴かせて。何にせよ俺がJ-POPを続けて聴くことに疲れてしまったというのはあるよね。一生歌謡曲を評論するっていうのは至難の業だよ。近田さんはやっぱ凄いと思う。俺が次にまた批評実験のゲームをするとするなら、J-POPに限定しないで、もっと広げたことがやれたらいいかもね。とりあえず、面白い企画が思いついたらまたなにかやれればと思います。
――はい、よろしくおねがいいたします!
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