NEWS & COLUMN ニュース/記事

第3回 ─ ニッポンの魂!!(Japanese Soul)

連載
ニッポンの魂!!
公開
2007/01/11   19:00
更新
2007/01/11   21:53
テキスト
文/bounce.com編集部

ダンス・ミュージックやカフェ・ミュージックは、洋楽が中心となってしまっている昨今。そんな時代の流れに逆行し、古今東西、日本に存在する多くのダンス・ミュージックやカフェ・ミュージックとなりうる名曲をオシャレに、かつアカデミックに紹介するSHIBUYA-FMで好評放送中のラジオ番組、それが「ニッポンの魂!!(Japanese Soul)」。クラブで掛かったらこの曲は踊れるかも、カフェやバーでこんな曲が流れていたらオシャレかも、などの〈日本人の日本人による日本人のためのソウル・ミュージック〉を新旧問わずに語り尽くす!! そんな縦横無尽トークを、bounce.comではダイジェストでお届けします!

「ニッポンの魂!!」のレギュラー選曲者は、この5人!
・LATIN RAS KAZ(以下ラスカズ):ご存知! 日本が誇るEDIT MUSICの第一人者。
・服部全宏(GO PUBLIC/以下服部):GO PUBLIC。アーヴァン感ミュージックを提唱中。
・daisk8(SWING BOYS):ラジカセで聴くジャズをテーマにしたユニット〈SWING BOYS〉のDJ。
・池谷航:bounceと代官山UNITがお送りする音楽イベント〈bouNIT〉などのイベント番長。
・Kaneko Hideshi(FreePaper UNIT/以下Kaneko):フリーペーパーUNITの編集長、たまにDJ。まれに☆

■選曲 daisk8(SWING BOYS)
吉田美奈子“ライトゥン・アップ”(『ライトゥン・アップ』収録)

daisk8:“レインボー・シー・ライン”なんかは〈和製ローラ・ニーロ〉なんて呼ばれていた頃なんですけれど、70年代後半から80年代に入ると、こういったブラック・テイストというか、吉田美奈子らしさが凄く出ていて、カッコイイんですよね。

Kaneko:あと、ギターのカッティングの部分も。

daisk8:素晴らしいんですよ。

ラスカズ:カッティングに関しては、うるさ方だからね(笑)。

daisk8:僕が20歳くらいの時、美奈子さんのライヴに行っていたんですよ。六本木のピットインとか。

ラスカズ:ニクい20歳だね。

daisk8:で、この曲をよくライヴでやられていて。凄く思い出深い曲ですね。

Kaneko:ストリングスの部分も素晴らしいですね。パラダイス・ガラージじゃないけれど……ダンス・クラシックというか。

ラスカズ:コンパス・ポイントじゃないけれどそういうニュアンスや、アイランド・レーベルとか、ニュー・オーダーな匂いがしますよね。

■選曲 Kaneko Hideshi(FreePaper UNIT/☆)
安藤裕子“君は1000%”(『The Still Steel Down』収録)

Kaneko:安藤裕子さんです。一度、〈bouNIT〉にもシークレット・ゲストで出演して頂きましたね。これはミニ・アルバム『The Still Steel Down』からの1曲なんですが……。

daisk8:(音を聴いて)このカヴァーは凄いですね!!

Kaneko:素晴らしいカヴァーですよね。カフェ・ミュージックに最高だなっていうカヴァーをしてくれましたね。

daisk8:原曲のイメージが凄く強いのにね。

Kaneko:そうそう。でも、最近は、原曲の方を聞いた事が無い人の方が多いんじゃないかと思いますけれどね。

ラスカズ:そうか、もう知らない世代がいるんだ。

Kaneko:オリジナルは、1986オメガトライブの“君は1000%”ですね。「新・熱中時代宣言」というTVドラマの主題歌で大ヒットした曲です。

ラスカズ:えっ! 水谷豊が出ていた?

Kaneko:いや、榊原郁恵が出ていたドラマです。

ラスカズ:水谷豊は「熱中時代」ですね。

Kaneko:このオメガトライブは、最初は杉山清貴さんと一緒にやっていたんですよね。杉山清貴&オメガトライブという名前でね。

ラスカズ:“君は1000%”を歌っているのは一代目のヴォーカル?

daisk8:いや、二代目ですね。

Kaneko:オメガトライブは、藤田浩一さんという方がプロデュースしたバンドなんですけれど、一代目のヴォーカルは、杉山清貴さん。二代目はカルロス・トシキさんですね。この方、名前を日本名にしたりとか、コロコロ変えていましたね。

daisk8:オメガトライブっていうのは、インナー・サークルみたいなものなんですかね。

Kaneko:そんな感じでしょうね。

■選曲 服部全宏(GO PUBLIC)
大貫妙子“黒のクレール”(『Cliche』収録)

Kaneko:さすが服部さんという選曲ですよね。大貫さんのこの曲は、マクセルのカセット・テープのCMに使用されていたみたいですね。

daisk8:マクセルって、吉田美奈子さんもそうですけれど、その辺の人たちの曲を使いますよね。

Kaneko:マクセルにそういうのが好きな方がいらっしゃるんでしょうかね。声が素晴らしいし、ニクいですよね(笑)。

ラスカズ:ニクいね。

daisk8:これは、編曲が坂本龍一さんですね。

ラスカズ:フランスっぽいよね。

Kaneko:透明感があるというか……坂本龍一さんの曲って、中谷美紀とかもそうですけれど、透明感のある曲が多いですよね。

ラスカズ:NHKっぽいというか(笑)。矢野顕子とかと一緒に夜中に掛かっていますよね。

daisk8:僕はシティ・ポップと呼ばれているモノを掘っている人間なんで、コレより前のアルバムはよく聴くんですけれど、80年代の大貫さんのアルバムってあまり聴いていなくって……。

Kaneko:あまり出てこないというか……。

ラスカズ:もっとテクノ・ポップっぽい感じだと、これよりも後だったりとか。シティ・ポップっぽい感じだとむしろこれよりも前だったりとか……。

Kaneko:以前の放送の時に私が“じゃじゃ馬娘”を紹介しましたけれどね。

ラスカズ:あの辺とかからわりとシティ・ポップっぽい感じが出ていますよね。

Kaneko:そうですね、またちょっと違うニュアンスがありますよね。

ラスカズ:この人のヒット曲“メトロポリタン美術館”もシティ・ポップですよね。

Kaneko:涙が流れそうな、刹那なメロディですよね。

■選曲 LATIN RAS KAZ
泰葉“フライディ・チャイナタウン”(『GOLDEN☆BEST 泰葉』収録)

Kaneko:このメロディ・ライン、良いですよね?

daisk8:ねぇ。

ラスカズ:この人、実は海老名泰葉っていうんです。この時点で気付いた方もいるとは思いますが……。

Kaneko:海老名という名前もそう簡単にはいないですからねぇ(笑)。

ラスカズ:そうなんですね、林家三平の実の娘なんですよ。しかも、この曲はね、結構ヒットした曲なんです。81年の作品で。三平の娘ってことは、こぶ平のお姉さんか妹か?

Kaneko:海老名みどりさんの妹ですかね。

daisk8:みどりさんって昔シンガーだったって聞いた事ありますよ。

ラスカズ:まぁ、海老名家の話題はそれくらいにして(笑)。泰葉はけっこう本格的にシンガーとしてデビューした人で、この曲は歌詞が凄く良いんです。金曜日のチャイナ・タウンに繰り出すみたいな内容なんですよね。で、歌詞の中に、肩にぶつかる〈外人〉というところがあるんですけれど、歌では〈ジンガイ〉って歌われていたり(笑)。その辺に時代感が出ているっちゃ出ているんですけれどね。サウンドの方がガッチリ決まっているというかね。

Kaneko:編曲の井上艦さんは、ダンス・ミュージックに仕立て上げるのが上手いんですよね。

ラスカズ:僕もこれを聴いていて、ヤーボロー&ピープルズの“Don't Stop The Music”のベースがかなりちらついていて……。

daisk8:(*注1)モーフィングですね(笑)。

ラスカズ:そんな感じの泰葉です。これは1枚目のアルバムなんですけれど、2枚目も良いですよ。

*注1 モーフィング=似ている曲を探すということ。

※トークに登場する楽曲のオリジナル盤は、廃盤・取扱い終了などで入手不可能なものがあります。記事内の収録アルバムについては、現時点で入手可能な作品をご紹介しています。

「ニッポンの魂!!」情報
・2007年1月より放送日、時間帯が変更になります。毎月第2、第4木曜日(19:00~20:00)にSHIBUYA-FM(78.4Mhz)にて放送します! そして代官山UNITのフリーペーパー「UNIT」でも展開中! 今後、bounce.comとも連動企画があるかも!? 次回の放送は1月11日。ぜひチェックしてみてください。お楽しみに!