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第8回 ─ 月刊太田・ダンディ食堂〈特別編-第3回〉 ゲスト:田島貴男(オリジナル・ラヴ)

連載
bounce.com 5th Anniversary
公開
2006/12/27   13:00
更新
2006/12/27   19:11
テキスト
文/羽切 学

bounce.comは2006年12月で5周年を迎えました! その記念企画として、年末年始の4週間、スペシャル・コンテンツを連日更新していきます。第2週は、音楽に限らずオール・ジャンルを渡り歩くトークでお馴染みとなっている〈月刊太田・ダンディ食堂〉の特別編! 12月25日より28日まで4日間連続で更新いたします。今回のゲストは、ダンディズムの代名詞=オリジナル・ラヴこと田島貴男さん。ニュー・アルバム『東京 飛行』をはじめ、2006年をあらゆる面から総括していただく……どころか、話題は現在~過去と時空を自由に旅しております。田島さんのマシンガン・トークと応戦する太田店長のやりとりを、とくとご覧ください!!

田島貴男(以下、田島) ボーちゃん(スチャダラパーのBOSE)もやっぱすごいと思うよ。だって今もいい曲書いてやってるじゃん。そうじゃなくてもなんか、ずっと続けて曲を書いてるだけでやっぱ偉いよね。

太田店長(以下、太田) 田島さんだって(笑)。

田島 前、谷中(東京スカパラダイスオーケストラ)も言ってたけどさ、今でも曲書いて演ってるってだけで、それだけでオッケー。拍手だな、ってね。

太田 小山田くん(Cornelius)もね、たまにですけど出してますからね。

田島 小山田くんはすごいよねー。時間かかるけど、いいものをずっと、作って演ってるしさ。


向かって左から田島貴男(オリジナル・ラヴ)、太田店長

太田 田島さんは、年に一枚のペースですもんね。

田島 僕はね。一応、毎日曲を書いてるしね。

太田 曲ってどんな時に作られるんですか?

田島 曲作りは最近、ライフワークだよ。朝起きて、飯とか食って、じゃあ仕事、って感じで曲を作る。

太田 作家ですね。

田島 うん、そういうことにした。前は、○日までに書かなきゃいけない! っていうプレッシャーがあるから作ってたんだけど(笑)、今は〈俺は曲書くのが仕事だから、毎日曲を書こう〉って思ってやってるよ。そう考えるといいんだよ。音楽作ることが面白くなる。〈周りから追い立てられて作るだけ〉ってことをやってるから、煮詰まるんだよ。なんか、今ってさ、ひとつの仕事をずーっとやるっていうことの価値が、見えづらくなってるじゃない? 音楽に限ったことじゃなく、すぐクビになっちゃったりとかさ、いろいろと。でも本当は、今のこういう時代だからこそ、ひとつの仕事をずっとできるって、すごいことかもしれないよね。僕も曲を書ける限りは、ずっとやっていけたらいいのになって思ってるけど……、わかりませんけどね(笑)。


太田店長

太田 そういうオチですか(笑)?

田島 そうだよ。だって、どうなるかわからないもん。今は曲をずっと書いてる。昔から書いてますけど(笑)。

太田 (笑)。あと、ライヴも楽しみにしてますよ。

田島 そう、来年ライヴやります。たまには来てよ(笑)。

太田 こないだ行けなかっただけで、ほかは行ってますよ。“時の過ぎゆくままに”をカヴァーしたのは、一昨年でしたっけ?

田島 ああ、あれは一昨年かな?

太田 素晴らしくてビックリしました。

田島 あの頃は歌謡曲にハマっちゃってさ(笑)。よくカラオケにも行ってたし。

太田 今もですか?

田島 たまに誘われたら行くよ。今じゃ一応、自分には歌の芸があるから、“あんたのバラード”やら沢田研二やら、子供の頃に聴いてた歌謡曲を歌うと面白いわけよ。今の自分が歌うとこうなるんだ、みたいな面白さがあってさ、ライヴでもやってみようと。

太田 あれ、我々からしたら、すごい贅沢でしたよ。

田島 歌謡曲が流行ってたあの時代ってさ、なんであんな、文化が一般的に熱かったんだろう? 世良公則さんや桑名正博さんとか。ハードボイルド小説があったりとかさ。劇画タッチだよね。マンガで言うと、さいとう・たかをみたいに線が太いんだよね。「太陽にほえろ」しかり、あと、やくざ映画も昭和40年代でしょ? 「仁義なき戦い」とか「ブルース・リー」とかさ。なんでみんな、こんなにテンションが高いのかな? っていう。今じゃ、テンションが無駄に高いってことがギャグになり得るけどさ。あの当時は、そんな特別なことじゃないってムードがなんかあったじゃない?

太田 そうですよね。例えば、ウルトラマンだって仮面ライダーだって、怪人を作ってストーリー仕立てて、撮影してっていうのを毎週こなしてたんですよ!

田島 (笑)。あとさ、西部警察の爆破シーンとか。大門(渡哲也扮する登場人物)なんか、ヘリに足かけてライフル撃ったり。しかも飛んでるヘリから! こないだ俺、初めてヘリに乗ったんですけど、どんだけ怖いかっていう(笑)。

太田 どれぐらいの高さで撮影してたかは、わからないですけどね(笑)。

田島 なんか、そういう無茶苦茶やったる! っていう雰囲気がさ、あの頃はあったのかなって思うんだよね。今って、マンガ見ても線が細いし、コンピュータ・グラフィックでスーッと書けるぜ、っていう感じじゃん? でも僕の心の中にはさ、昔から、あの太いタッチがあるんだよね。


太田店長

太田 あ、それ感じます。〈日活顔〉って言われてたじゃないですか(笑)。

田島 でも日活にいて実際作品を作ってる人はさ、〈日活顔〉って思わないから(笑)。〈日活顔〉ってのも、やっぱり文科系の(線の)細い側からの意見なのよ。そういう人が、今、多いのかな。でも俺は、そこがちょっと、もの足んねえのかなって思うんですよね。太いタッチのものが生まれてこないもんかなって。もうちょい太いタッチの音楽が欲しいよな、って思うんですよ。マンガを見てて、そう思った(笑)。

太田 田島さんの曲は熱いですよ。

田島 まあとりあえずね、自分では太いのかわからないんだけど、ただ曲を書いてるっていうか。最近は、本当にただ曲を書いてますよ。

──続く。

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