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第13回 ─ 10月某日日記

連載
踏 切 次 第
公開
2006/12/14   21:00
更新
2007/11/08   17:29
ソース
『bounce』 282号(2006/11/25)
テキスト
文/次松 大助

次松大助が見つめる、とある町の日常──

 〈絶望的な大きさの魚を釣り上げた漁師たちは、絶望的な臭いに困惑してその魚を海に返す為にアルバイトを雇いましたが、その中に大変な力持ちの子供がおり、勢い余って空にぶつけたときに出来た魚拓がコレです〉というような雲が、このところ毎日手を変え品を変え空に現れます。秋だからです。

 ここ最近の僕が何をしていたか、僕自身にも興味のない話題ですが、出来事を並べて振り返ってみたいと思います。

 10月某日。

……一日中ダンボール箱を組み立てるアルバイトをする。
……父からメールが来る。メールの中の〈女子高SAY〉という単語に困惑する。
……街中で、自称ファンだという女性に苗字を呼び捨てにされ腹を立てる。
……工場内にて、流れてきた機械に一日中ネジを打ち込むというアルバイトに打ち込む。何を作っているのかは結局わからなかった。
……二日連続のハンバーグ。
……“二日連続のハンバーグ”という歌を作り、小声で歌ってみる。
……不動産屋に行き、タメ口で物件を紹介される。
……思い悩む。
……引越しの荷造りをしていると、高校3年のときの通知表が出てくる。三学期に渡って遅刻と欠席について励まされている。
……家主と電話でモメる。
……ジャンプとAERAを買う。
……駅前の歩道に駐輪したまま出掛けていたら、サドルにマジックで〈×〉と書かれる。
……はぁ。

 もうすぐ冬です。ベランダで煙草を吸ってふと思い出し笑いをしたら、口びるから血が出てきました。

今月のBGM

THE AWAKENING
『Mirage』
 
Black Jazz
全部持っているわけではないですが、このシリーズのなかで二番目によく聴くのがこのアルバムです。夜中に控えめなヴォリュームで聴いても十分興奮します。

PROFILE

次松大助
99年に大阪で結成されたオリジナル・スカ・バンド、The Miceteethのヴォーカリスト。全国ツアー〈CONSTANT MUSIC TOUR〉も好評のうちに終了し、現在はひと休み中? 新境地を開拓した『CONSTANT MUSIC 2』も大きな話題となった。最新情報は〈www.miceteeth.net〉まで。