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第13回 ─ リッチー・ホーティン、ニッツァー・エブ、RYUKYU DISKOほか出演。〈WIRE 06〉速報!!

第13回 ─ リッチー・ホーティン、ニッツァー・エブ、RYUKYU DISKOほか出演。〈WIRE 06〉速報!!(2)

連載
オレらの 夏 フ ェ ス 予習・復習帳 06
公開
2006/09/07   13:00
更新
2006/09/07   22:23
テキスト
文/佐藤 譲


Hardfloor photo by Tsukasa Miyoshi

ハードフロアは30分という短さもあり、若干物足りなさを感じつつも、全曲TB303が唸りを上げるビッキビキのアシッド・ショウ。“Into The Nature”がかかった時に再び涙腺ぶわわわわわわわ涎だわわわわわわ。


Alexander Kowalski,Joris Voorn photo by Takayuki Mishima

 再び〈SECOND FLOOR〉へ。新作『Change』をリリースしたばかりのアレキサンダー・コワルスキーが待望の初ライヴを披露。歌もののトラックを交えながらラストの“Speaker Attack”で涙を誘い、盟友ヨリス・ヴォーンに交代。するとヨリスはド迫力のトラックで攻めつつ“Incident”でフロアを激震。デトロイトの影響を色濃く受けたヨーロッパ屈指のプロデューサーの面目躍如であった。

 この日の個人的なベスト・アクトはリッチー・ホーティン。まさに骨と皮だけの極限まで削ぎ落とした激渋のトラック構成でフロアを操っていく様は冷たい鬼。耳元に突き刺さるハット。身体を波打たせるキック。細やかにコントロールされる音の距離や位相が精密で凶悪な立体音像を作り上げていく。〈MAIN FLOOR〉にはふらふらと引き寄せらた人が次第に増え、黙々と踊り続ける。テクノ・ミュージックの魔力を感じさせられた瞬間だった。


Richie Hawtin photo by Tsukasa Miyoshi

 そしてトリでは〈SECOND FLOOR〉も〈MAIN FLOOR〉も大盛り上がり。10月にWombでのレジデンシーを控えたジェフ・ミルズは来日予定の〈Sleeparchive〉のトラックにはじまり自身の“The Bells”、ピーク時には“Change Of Life”からリズム・イズ・リズム“Strings Of Life”を繋げるハードでドラマチックなお祭りに相応しいDJ。そして〈SECOND FLOOR〉ではTOBYもアシッド系トラックを繋げる激渋なDJの後にはコールドプレイの“Talk”を発射。自らマイクを取り、タオルを羽織り、エーちゃんばりのパフォーマンスで観客の大喝采を浴びていた。両者共に見事なフィナーレを飾り今年のWIREは大団円を迎えたのだった。


TOBY photo by Takayuki Mishima

 幅の広さが印象的なパーティだった。現在のテクノ・シーンの元気のよさ、面白さを形成しているエレクトロ、アシッド、クリックを通過したミニマル。そこにデトロイトが加わるラインナップ。それぞれの軸にはニッツァー・エブ、ハードフロア、リッチー・ホーティン、そしてジェフ・ミルズが源流としての存在感を示し、DISCO TWINSや卓球、マイケル・メイヤー、オルター・エゴ、ヨリス・ヴォーンらDJたちがかけるトラックにはその新しい形が提示されていた。温故知新。DJ を介して伝えられるテクノ・ミュージックの連綿と続く流れ、新旧のファンが音を介して互いを発見し合うような素敵な空気が息づいていたように思う。安定した楽しさを提供しつつ、発見も多かった今年のWIRE。やっぱり最後は踊る阿呆になって楽しんだのでございました。

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