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第12回 ─ 〈SUMMER SONIC 06〉各アクトの詳細ライヴ・レポート!!

連載
オレらの 夏 フ ェ ス 予習・復習帳 06
公開
2006/08/24   17:00
更新
2006/08/24   23:08
テキスト
文/柴田かずえ、村尾泰郎、内田暁男、土田真弓

東京・大阪で同時開催された、都市型フェスの代表格〈SUMMER SONIC 06〉。復習編の第1回でお届けした総括対談に続き、第2回は参加したライターが特に印象に残ったライヴをレポートします。

8月12日(土)

12:15~
■THE FEELING @ SONIC STAGE

 デビュー・アルバム『Twelve Stops And Home』がいきなり全英2位を獲得してしまったという5人組、ザ・フィーリング。果たしてライヴは? ……と乗り込んだ〈SONIC STAGE〉で、ド肝を抜かれたのは私だけではなかったはず。この上なく美しいコーラス・ワークとメロディアスな楽曲、そして確かな演奏力。目の前に広がっているのは、ソフト・ロックとパワー・ポップを職人技で融合した、ハッピー・チャームで男気もたっぷりのめくるめくポップ・ワールド。メンバーの本当に楽しそうなパフォーマンスも、その幸福度数を高めるのに一役かっておりました。単独公演を熱烈に希望いたします!!*土田真弓

13:10~
■NO SURF NO LIFE TIME(Caravan、DUBSENSEMANIA、Keison、Leyona)@BEACH STAGE


NO SURF NO LIFE TIME (C)SUMMER SONIC

  海沿いに、Caravan、DUBSENSEMANIA、Keisonといった極上のリラクシン・ミュージックが吹き抜けて……いたんだが、Leyona登場前に豪雨も吹き荒れてしまう。近距離で雷も落ちまくる想定外の天候によって30分以上の中断ののち、ニュー・アルバム『Clappin’』の冒頭を飾る“Sweet Baby Love”でLeyonaが登場し、〈BEACH STAGE〉は一気に華やかなムードに。その後Caravan、DUBSENSEMANIA らとのセッションで披露された “travellin’ man”(2002年の『Niji』収録)でのレイジーかつブルージーな味わいは格別。リリースされたばかりのKeison×Leyonaのシングル“~a theme of NO SURF , NO LIFE.~”から最後に披露された“Bless”は二人の掛け合いの美しさと雄大なミディアム・テンポの曲調が相まって、ナチュラルな〈歌〉の余韻をジンワリと残していった。短いながらも、奇跡的に持ちこたえた天候も味方につけた好演!*内田暁男

13:15~
■EL PRES!DENTE @ SONIC STAGE


エル・プレジデンテ (C)SUMMER SONIC

  日本でも、すっかり人気者になったエル・プレジデンテ。舞台の中央にはドラムがセットされて、エキゾチックなアジアン・ビューティー、ドーンがクールにビートを刻む。バンドのフロントマン、ダンテは食堂経営者の顔も持つだけあって、さすがにツボを心得た“接客”ぶり。オーディエンスをスムースにリードしながら、会場を盛り上げていく。やはり盛り上がったのはヒット曲“Without You”。日本語を頑張って喋っていたのも好印象!*村尾泰郎

15:30~
■DANIEL POWTER @ SONIC STAGE


ダニエル・パウター (C)SUMMER SONIC

  今回は、アルバム『Daniel Powter』とほぼ同じバンド編成。ピアノと歌をメインにじっくり聴かせてくれるのかと思いきや、意外にもパッション全開のアゲアゲなステージングにビックリ。もちろん基本はピアノ弾き語りだが、コール&レスポンスの応酬で会場は煽られっぱなし。歌だけになるとステージ上では飽き足らず……どこへ行った!? かと思ったら、フロアへ降りて観客とグッド・コミュニケーションを図っておりました。そして終盤、いよいよ投入された大ヒット曲“Bad Day”。アカペラで大合唱する聴衆にダニエル自身も感動した様子で、「I Love You !」と満面の笑みを浮かべていた。胸に染み入るメロディを会場全体で共有した至福のひととき。好印象のライヴでした。*土田真弓

16:40~
■くるり @ SONIC STAGE


くるり (C)SUMMER SONIC

  偶然にも一日中〈SONIC STAGE〉での観戦となったこの日、最も集客数が多かったのがくるり。交響詩 “モルダウ”の壮麗な調べと共にマントを羽織って登場した面々は、重厚なロック・ナンバー“Tonight Is The Night”で会場を瞬時に黒々とした夜の底へ突き落とす。かと思えば、2曲目でいきなり“東京”。「えっ、もう?」という囁きがフロアから聞こえたのも束の間、MCはほとんど挟まれないまま、“ばらの花”や“赤い電車”、RIP SLYMEとのコラボ作“ナイトライダー”と、現在大ヒット中のベスト・アルバム的セットを展開。ここにアグレッシヴなピアノ・アレンジでファンキーに仕上がった “Ring Ring Ring!”、定番ダンス・チューン“ワンダーフォーゲル”が続くんだから、盛り上がらないはずはない!! そして圧巻だったのは、ラストの“虹”。轟音ギターが渦を巻き、聴衆を次々と飲み込んでいくさまはもう鳥肌モノ。バンドとしての高い身体能力をまざまざと見せつけられた、壮絶なエンディングでした。*土田真弓

17:20~
■SCRITTI POLITTI @ MOUNTAIN STAGE


スクリッティ・ポリッティ (C)SUMMER SONIC

  30代後半、ニューウェイヴ世代には、今回のハイライトのひとつ、スクリッティ・ポリッティの久しぶりの公演。期待が高まるなか登場したグリーンは、ネクタイを締めて短髪に髭ヅラというチョイワル親父風。6人編成のバンド・セットで、新曲を中心に洗練された演奏を聴かせてくれる。ラストには問答無用の名曲“Wood-Beez”を披露して、オールド・ファンは大喜び。何より、変わらない魅惑のハイトーン・ヴォイスに酔いしれた。*村尾泰郎

18:00~
■DEVENDRA BANHART @ BEACH STAGE


デヴェンドラ・バンハート (C)SUMMER SONIC

  雨上がりのビーチで、異様なエネルギーで観客を惹きつけていたのがデヴェンドラ・バンハート。ヴェティヴァーやエスパーズのメンバーを率いてバンドで登場。謎のマスクマンもいて、狂ったダンスでステージのテンションをアゲていく。途中で演奏できる観客を舞台にあげ、その客の持ち歌を演奏させてセッションするという荒技も披露。とにかく、カエターノ・ヴェローゾのカヴァーも含め、デヴェンドラの歌声に改めて痺れてしまった。*村尾泰郎

18:35~
■THE CHARLATANS @ MOUNTAIN STAGE


ザ・シャーラタンズ (C)SUMMER SONIC

  冒頭から“North Country Boy”“Then”とオールド・ファンには堪らない選曲。ひたすらタイトでダンサブルなバンド・グルーヴは〈マンチェ〉〈ブリットポップ〉からサバイヴしたヴェテラン・バンドの伊達じゃない地力を感じさせます。新作『Simpatico』から珠玉の名曲“Muddy Ground”を挟んだのちは、“Weirdo”“Jesus Hairdo”“One To Another”と黄金の過去曲を連発し、当然マンチェ聖典であるファースト・シングル“The Only One I Know”で爆発。シメはファースト・アルバム『Some Friendly』終曲“Sproston Green”で突き抜けるようなお祭り状態です。強靭なリズムに絡む鋭いキーボードとギターは、一部のオッサンだけでなく現行UKロック好きにもきっちりアピールしていました。*内田暁男

18:40~
■METALLICA@MARINE STAGE


メタリカ (C)SUMMER SONIC

  激情、高揚、熱気……どんなアグレッシブな言葉を羅列したとしても、このバイオリズムを変化させてしまうほどの破壊力を持ったパフォーマンスは表現し尽くせない。何が凄かったのか。魂揺さぶるスクリーモ・サウンド? 冷静かつ情熱的なギター? エモーショナルなドラム? 人間離れしたベース?  『Master Of Puppets』全曲プレイ? いや、メンバーと観客全員とで創りあげたステージは、ここがどこなのか、自分は何者なのか、そんな問いすべてを忘れさせる、圧倒的なパワーに包まれていた。まさかのダブル・アンコールを終え、満面の笑みで挨拶をするメンバー達を見て自然と涙が出てきたこのライヴをもって、メタリカの新たなる歴史のスタートを実感した。*柴田かずえ

19:25~
■THE FLAMING LIPS @ SONIC STAGE


ザ・フレーミング・リップス (C)SUMMER SONIC

  この日、〈SONIC STAGE〉のトリを飾ったのはサマソニ常連バンド、フレーミング・リップス。とにかくリップスのライヴは仕掛けがスゴい。今回もいきなり無数の風船が会場にバラまかれ、さらにウェイン自身が巨大風船に入って、観客に持ち上げられながら移動。ステージに戻ったとたん、“Race For The Prize”で華々しく幕開け。これで盛り上がらないワケがない。舞台上では花吹雪が舞い散るなか、宇宙人のマスクをつけたチアガールと、サンタクロースの集団が曲に合わせてダンス。リップスはといえば、今年はドラマーも加わって、昨年以上にパワフルな演奏を聴かせてくれる。アンコールは“Do You Realize?”で、熱狂のうちにフィナーレ!*村尾泰郎

20:05~
■DAFT PUNK @ MOUNTAIN STAGE


ダフト・パンク (C)SUMMER SONIC

  入場規制がかかりつつも、ゲートを強行突破した血気盛んな集団が横から雪崩をうって乱入してくるという異常事態のなか、ちょうどピラミッドがパカッと開いた形になった壮大なセットにヘルメット着用で登った二人。サウンド・チェックよろしくロボ声が鳴り響いたのち、女声がエレクトロ・ヒップホップ調に韻を踏んでいく様がミッシー・エリオット“Loose Control”を想起させる “Technologic”(最新作『Human After All』収録)でスタート。バックに次々照射される歌詞とリンクしながらブレイクビーツ調からバイリ・ファンキへと変移していくビートがいきなり刺激的!! その後も二人はラップトップの前で頭(ヘルメット)を揺らしながら、アシッド・ハウス、ミニマル・テクノと変幻自在のビートを繰り出していく。終盤には “One More Time”も飛び出し、プログレチックな展開でサイケかつ涅槃な空間に引きずり込む。多彩なビート、立ち上がりのいい硬質な出音、タイミングを知り尽くした展開、コズミックで圧倒的な照明演出などが一時も飽きさせない完璧なダンス・アクトで、本年度〈MOUNTAIN STAGE〉最高集客数を記録(?)したフロアは終始爆発的な盛り上がりであった。*内田暁男

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介







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