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第11回 ─ 〈ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2006〉各アクトの詳細をレポート!!

連載
オレらの 夏 フ ェ ス 予習・復習帳 06
公開
2006/08/23   20:00
更新
2006/08/24   23:08
テキスト
文/岡本昌子、久保田泰平、土田真弓

今年も大盛況の中で終了したジャパニーズ・ポップス&ロックの祭典〈ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2006〉。復習編第1回の対談に続き、第2回では各アクトの詳細をレポートします。

8月5日(土)

10:30~
■フジファブリック @ LAKE STAGE

 〈LAKE STAGE〉にトップで登場したフジファブリックは、“Sunny Morning”でのっけから全力疾走(本番10分前にセット・リストを変更したらしい)! 「はい 快晴~」という歌詞と見事にリンクした青空の下、会場は一気に沸点へ到達。飄々とロックするメンバーに導かれ、満員の観客から拳が突き上げられる。続く“TAIFU”でステージはさらに加速度を増し、その勢いは衰えることのないまま終盤へ突入。 キラー・チューン“銀河”“虹”では、高揚していくシンセ・ソロに負けじと大歓声が巻き起こり、エリアのあちこちからシャボン玉が舞い上がっていた。フェス=祭りなんだなぁと実感。いい朝です。*土田真弓

11:00~
■ORANGE RANGE @ GRASS STAGE


ORANGE RANGE

  2日目、〈GRASS STAGE〉のトップバッターは意外にもJAPANフェス初登場となるORANGE RANGE。一発目から“チャンピオーネ”で、広大なフィールドは一気に夏祭り状態に。みんなDJ OZMA並みにタオルを振り回してます。そしてキラー・チューン“ロコローション”“上海ハニー”、泣ける名曲“花”、ロックモード全開の“TWISTER”“キリキリマイ”と振り幅の大きいヒット曲の数々を披露。まさにレンジのおいしいとこ取りのライブに大満足。*岡本昌子

12:20~
■真心ブラザーズ @ GRASS STAGE

 昨年復活を果たした真心ブラザーズ、今年は〈GRASS STAGE〉に登場。バック・バンドMB'sによるソウルフルなサウンドと共に、テンション高めの “拝啓、ジョンレノン”で大盛り上がりのスタートを切る。大合唱が沸き起こった“空にまいあがれ”、「めでたい曲をやります!」とカマした“ドカーン”。そして“Dear Summer Friends”、“endless summer nude”と、ステージから全方位に放たれる最高のサマーソング。真心の夏男っぷり、青空の元でしっかりと受け止めました。*岡本昌子

12:20~
■NATSUMEN @ SOUND OF FOREST


NATSUMEN

  「月が出た出た~ 月が~出た~」。木立に囲まれた一角に響く“炭坑節”……を打ち破り、ハードコア・サイケデリック・インストゥルメンタル・バンド、NATSUMEN見参! 変則&変速するリズムを起点としてギターが、ピアノがフリーキーに泳ぎ回り、ホーン隊はド派手なアンサンブルをとどろかせる。原素と原素がぶつかり合って起爆するように、8人から発せられた音が交錯し、トランシーなカオスを生み出していく。ラストの“Natsu no Mujina”ではA×S×E自身もギターを振り回してはストラップと絡まり合ってみたり、しまいには延々と素振りを繰り返してみたり。ステージ上もフロアも狂乱状態の中、あっという間にアクト終了。静寂を取り戻した日溜まりには、心地よい余韻が残されておりました。*土田真弓

14:00~
■the band apart @ LAKE STAGE


the band apart

  やばいくらい陽が照り付ける午後、スタンディング・エリアまでぎっちり埋まった〈LAKE STAGE〉にthe band apart登場。1曲目“led”から、キレ者音楽集団が高速で叩きつけてくる楽曲にモッシュの嵐。変調していくメロディが突如として爆発する瞬間、そして複雑に交錯する4人のサウンドにある、どこか異質なポップは怖いほど美しい。最後まで地面揺れてました。*岡本昌子

15:00~
■ELLEGARDEN @ GRASS STAGE

 キッズ達がダッシュでスタンディング・エリアになだれこんでいく。さすがELLEGARDEN、すごい人気。美しき名曲“Missing”から始まり、“Red Hot”“風の日”、新曲“Salamander”と高速で畳み掛けられ、〈GRASS STAGE〉は熱狂の渦となる。鉄壁のリズム・セクションをバックに、ボーカル・細美がまたすごくイイ顔で歌うんです。「この世の中にぶっ壊したいものたくさんあるの、まだまだ」と感極まった表情で伝えるMCにも胸がいっぱいになった。バンドとしての覚悟を感じ取れる力強いライブに感動。*岡本昌子

16:20~
■奥田民生ひとり股旅 @ GRASS STAGE

 ステージの後方に、ゆっくりと太陽が沈んでいく。黄昏どき、ふらりとステージに登場した奥田民生が歌い出したのは、自身の代表曲のうちのひとつ “愛のために”。会場はもちろん、初っ端から大合唱!! 私もその中の1人でございます。この日のセット・リストは、“さすらい”やユニコーン時代の名曲“雪が降る町”“働く男”など、アガる要素満載のフェス仕様。それでも終始のんびりしたムードに満たされていたのは、民生氏の人柄によるものでしょうか? ラストの“イージューライダー”では、再び会場全体で大合唱。アルコールを片手にいい歌を聴く。そんなシンプルで贅沢な時間を過ごすことができました。いや~、気持ちよかった。*土田真弓

17:00~
■YOUR SONG IS GOOD @ SOUND OF FOREST


YOUR SONG IS GOOD

  今年はよりスペースが広くなった〈SOUND OF FOREST〉を、存分に揺らしたのがYOUR SONG IS GOOD。サウンドチェック中から客を沸かせたエンタメ・スピリットは、アグレッシブなライブと相まってとどまる所を知らず、自由自在にオーディエンスを扇動する。そしてゲストにBEAT CRUSADERSが登場、ガチンコ勝負の“FOOL GROOVE”で興奮も絶頂に! 短い間ながら〈後がない三十男〉のゴキゲンな魅力できっちり躍らせてくれた。*岡本昌子

17:40~
■スピッツ @ GRASS STAGE


スピッツ

  この日、観客のMYセット・リストに最も多くエントリーされていたであろうスピッツ。1曲1曲、イントロが始まるたびに大歓声で迎えられるというのはやっぱりスゴイ。合間に挟まれる草野正宗のゆるマジメ・トークも相変わらずで、広大な〈GRASS STAGE〉全体がなごみモードへシフトしていく。その空気を継承したミッド・テンポ・ナンバーの中では、セカンド・アルバムに収録されていた、あの懐かしいラヴ・ソングも披露。陽が落ちたものの熱気の残るひたちなかを、草野の清涼感をたたえた歌声が吹き抜けていく。ラストはギラギラのロック・ナンバーで会場を盛り上げながら、息つく暇もなく終演へ。印象的だったのは、目の前に立っていたELLEGARDENのTシャツを着た女の子が、ひどく嬉しそうにメロディを口ずさんでいたこと。スピッツの楽曲が持つ普遍性を改めて感じた一幕だった。*土田真弓

18:00~
■音速ライン @ WING TENT


音速ライン

  今年から新設された〈WING TENT〉、2日目のトリを務めたのは音速ライン。情緒あふれるメロディが染みる名曲“コトノハ”に続き、疾走ギターでオーディエンスをアゲまくる“みずいろの町”。そして“上昇気流”ではゆるやかにループしながら、めくるめく異世界に連れて行ってくれる。スタッフTシャツを着た一見ゆるーい感じの2人が、一筋縄ではいかない楽曲で表情豊かに夏の夜を彩った。*岡本昌子

19:00~
■Cocco @ GRASS STAGE


Cocco

  上空から月が淡い光を投げかけ始めた頃、黒地に赤い花模様のワンピースで登場したCocco。“強く儚い者たち”“音速パンチ”と新旧のメロディック・チューンで満場の観客をあっさりと虜にしたのち、「ただいまゴザイマス」と彼女らしい挨拶が。新作をメインとしながらも、随所に“カウントダウン”“焼け野が原”など活動休止前の人気ナンバーが挿入されたラインナップは、復活を宣言するにふさわしいものだ。2度目のMCで語られた「この夏は特に愛しい。1曲でも1分でも長く歌いたい」という言葉通り、繊細さと強靱さの間を振幅する彼女の歌声が、ひとつひとつ丁寧に解き放たれていく。〈歌に対する渇望〉がひしひしと伝わってくるステージングに、〈GRASS STAGE〉全体が完全に魅入られていた。最後のフレーズを歌い終えた後、スクリーンに大きく映し出されたCoccoは、夜空を見上げながらにっこりと笑っていた。何だか嬉しかった。*土田真弓

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介






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