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第7回 ─ 〈FUJI ROCK FESTIVAL 06〉各アクトの詳細をレポート

第7回 ─ 〈FUJI ROCK FESTIVAL 06〉各アクトの詳細をレポート(3)

連載
オレらの 夏 フ ェ ス 予習・復習帳 06
公開
2006/08/10   22:00
更新
2006/08/11   16:55
テキスト
文/田家 大知、小田 由美子、星野 源、原田 亮、内田 暁男、ヤング係長

7月30日(日)

10:30~
■Guitar Wolf @RED MARQUEE


Guitar Wolf

  朝っぱらから〈もち豚〉片手に麦酒をあおり、爆音に身を浸す。これぞ夏フェスの醍醐味。こんな我々に最もふさわしいバンド、それがGuitar Wolfだ。そろそろ疲れの溜まる3日目の朝イチだというのに、客の入りは良好。登場を待ちかねて、拍手やかけ声が飛び交うなか、流れるのはいつもの通り、“仁義なき戦いのテーマ”。そして、いつもの通り凄みをきかせたメンバーが登場すると、いつもの通りギュワ~~~~ンと轟音で空気を切り裂く。と、身体の血が逆流し、我知らず拳を突き上げ、叫び出すのだ。「ロケンローーーーーー!!!!!」

 要するに、いつもと変わらぬウルフ3匹。しかし、どんなステージもウルフ色に染めてしまう彼らは、やっぱり素晴らしい。こうして40分のライブは、あっという間に終了。外に出ると、痛いくらいに眩しい青空。きっと昨日までの雨雲を、彼らがぶっ飛ばしてくれたに違いない。今日もいい日になりそうだ。*小田 由美子

14:20~
■Rinocerose @WHITE STAGE


ライノセラス

  envy、アイシスとシリアスなバンドが続いた後は、フランスから初来日のライノセラス。意外と言っちゃあ失礼だが、思いのほか多くの客が、今や遅しと開演の時を待っている。それはあたかもお祭り前夜といった様相。そして登場。アルバムの雰囲気から、いわゆるエレクトロ・ビートのピコピコな音を想像していた私は、生ドラムを加えたことによる、あまりに骨太なリズムと、マーク・ガードナーをはじめとするゲスト・ヴォーカルのあまりにファンキーなパフォーマンスに、面食らってしまった。ああなるほど、みんな踊りに来ていたのね……。と気づいた頃には、〈WHITE STAGE〉は一面、ダンス・フロアに変貌。60年代UKロックとディスコとテクノをぐしゃっと飲み込み、ポップなノリで吐き出したような奇天烈さ。この良い意味での軽薄さがこのバンドの強みなのかもしれない。ともあれ、同じアホなら踊らにゃ損! 弾ける青空の下、しばし重力を忘れて飛び跳ねたのであった。*小田 由美子

16:20~
■フィッシュマンズ @FIELD OF HEAVEN


フィッシュマンズ

  茂木欣一がヴォーカルをとる“Go Go Round This World!”でスタートし、続く“Weather Report”で原田郁子(クラムボン)が登場と、過去のリユニオン・ツアーと同様の流れ……ながらも「フジロックでフィッシュマンズの曲を演奏するということはとても自然なことのように思います。〈彼〉も絶対ここで演りたかっただろうし」という茂木のMCにも表れているように、フジで聴くフィッシュマンズはまた特別。HONZIのヴァイオリンの音が歪んで聴こえたりなど音響面やバンド・コンディションに難はあったものの、蔡忠浩(bonobos)による伸びやかな“感謝(驚)”の抜けや、キセル、pocopen(SAKANA)、UAと豪華なヴォーカル陣を締めた永積タカシ(ハナレグミ)による“ナイトクルージング”の感動などは過去のリユニオン・ツアー以上だと断言できる。*内田 暁男

18:20~
■ゆらゆら帝国 @FIELD OF HEAVEN

 “太陽の白い粉”でゆったりと滑り出したゆらゆら帝国は、“順番には逆らえない”“男は不安定”“誰だっけ?”などでハードに攻めたのち、悪夢のようにサイケデリックな“タコ物語”でまずはフジロッカーをズッポリとハメる。最新シングル“つぎの夜へ”はスピッツの“ロビンソン”すら想起させるメロウ・チューンだが、楽曲を覆い尽くす死の匂いがジワ~っと迫ってくる。ちょうど夜半に差し掛かる出演ということで、〈FIELD OF HEAVEN〉頭上で回るミラーボールに彩られながら演奏された終盤の“ミーのカー”では、無意味にアンプに昇り降りする坂本慎太郎の姿がおかしく、そしてとてつもなくサタニックであった。*内田 暁男

18:50~
■KILLING JOKE @RED MARQUEE


キリング・ジョーク

 陽も徐々に陰りはじめ、いよいよ今年のプログラムも残り少なくなってきた頃、いよいよキリング・ジョークの登場だ。多くの人がそうであったように、ナマで観るのは初めて。そわそわと〈RED MARQUEE〉に乗り込むと、〈FIELD OF HEAVEN〉や〈WHITE STAGE〉の喧噪と打って変わって、人影もまばら。だ、大丈夫なのか??

 いやいや、それは杞憂だった。確かに風が吹き抜ける程度の動員でしかなかったが、ライブのテンションは最強! 凶悪なダンスミュージックは健在だった。ヘヴィな音とポップな意匠。火噴きなどのパフォーマンスも加わって、会場中が狂乱の渦。ポリティカルな内容のMCを挟みつつ、寸分の弛みもない怒濤の40分間は、瞬く間に過ぎていった。最後は異例のアンコールまで。あまりにも濃密すぎる彼らのライブ。それは、今この場所にいられたことを感謝したくなるような、何物にも代え難い体験だった。こんなコアな体験こそ、フジロックならではであろう。 *小田 由美子

20:30~
■SUPER FURRY ANIMALS @WHITE STAGE


スーパー・ファーリー・アニマルズ

 「まさかここまでいいライヴをするとは!」ウェールズのひねくれ集団、スーパー・ファーリー・アニマルズのライヴを観た正直な感想がこれ。毛むくじゃらの着ぐるみで演奏するとか、ポール・マッカートニーがセロリをかじった音を曲に入れるとか、そういった過剰なギミックを処理しきれず、楽しむ前に胃もたれを起こしてしまうんじゃないかと思っていた。が、そんなのはただの考えすぎでしかなかった。キャッチーなんだけれどクセのあるメロディーと、パワフルなんだけれどスクエアすぎない抜きどころがある演奏。そこには、やたら気のいい近所の兄ちゃんと一緒にバカやっているような、フレンドリーな空気が充満していた。ラスト曲“The Man Don't Give A Fuck”まで一気に突っ走り、メンバーが会場を去ると、スクリーンにはフジロック会場で撮影した観客の姿をつなぎ合わせたコラージュ映像が流れる。さらに、ファンに対する「ありがとう そしてお疲れ!」という日本語のメッセージが。それを見た瞬間、彼らに対して持っていた〈取っ付きにくい〉というイメージがガラっと変わってしまった(すごいベタなんですが……)。3日通してのベスト・アクトでした。*ヤング係長

21:50~
■THE STROKES、HAPPY MONDAYS @GREEN STAGE

 結局3日目は終日雨が降らず、なんだかんだで天気に恵まれたフジでした。大トリのストロークスはフェスとしては03年サマソニ以来の参戦。その時からは見た目もサウンドも貫禄が増していて、別にアレンジをいじったり、馴れ合いのコール&レスポンスを求めるわけでもなく、CDより少し遅いBPMで無愛想に演奏してるだけなのに、妙な説得力と横ノリ感が生み出される。途中“Ask Me Anything”でマイク・トラブルがありジュリアンがブチキレたかに見えたシーンもあったけど、その後は時おり笑顔も見せ、酩酊と恍惚の間を彷徨いつつ過去最高のショウを見せてくれた。とくに“Hard To Explain”を客席を走りながら歌った時の盛り上がりはヤバかったです。


ハッピー・マンデーズ

  続くスペシャル・ゲストは本格的再結成を果たしたハッピー・マンデーズが99年以来の出演。とてもカタギには見えないおっさんが、再結成とは思えないほどに強靭で粘っこいグルーヴを放つと、苗場の山はダンス天国に変身。どこを見渡しても、いい大人たちがこんにゃくのようなベズダンスを踊ってる姿はまさに壮観で、“Kinky Afro”、“Hallelujah”などのヒット・メドレーに狂わされて、気づけば自分も口からヨダレ垂れてました。

 「もっともっと~」と禁断症状が出た誰もがアンコールを期待したのに、酔っ払い過ぎて出てこれない!というズッコケなオチも彼ららしい。14年ぶりの新作も発売されるし、もうひと花咲かせてくれそうです。チョイ悪オヤジなんつって調子に乗ってる半端者はこの極道中年を見習うべし!*田家 大知

01:00~
■NIGHTMARES ON WAX @RED MARQUEE


ナイトメアズ・オン・ワックス

 〈フジロック〉のシメに絶好のアクト、ジョージ・エヴェリンことナイトメアズ・オン・ワックスが苗場にやってきた!! 最新作『In A Space Outer Sound』ではドロドロのストーン・ヒップホップを披露していただけに暗黒感全開のサウンドを予想していたら、今回のステージはパーティ・フレヴァー溢れる展開に。女性シンガー二人にディージェイ(喋る&歌う方です)を迎え、ラップトップ&ターンテーブルから流れる強力ベース・トラックの上に乗りまくる! シンプルで骨太なトラックとシンガー&ディージェイの煽るグルーヴに、酩酊サウンドはいつの間にかビルドアップ。UKブラックとして彼が育ってきた土壌、レゲエ/ダブのサウンドシステムの旨味をそのまま見せつけてくれるようなセットだった。*原田 亮

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介