8月19日(土)に出演するアーティストの作品群
MONGOL 800
『百々』(2004)
前作『MESSAGE』がインディー史上最高のセールス──ダブル・ミリオンを記録するなど、世間一般では沖縄バンド・ブームのマエストロ的な存在に捉えられがちだけど、彼らは至って普通のバンドであって、決して鼻持ちならないモンスター・バンドではない。ただ、圧倒的に違う点は、沖縄という素晴しい環境で育ったことと、〈あるがままに、いまを大事に生きる〉バンドの姿勢だろう。いまやれる、やりたいことだけをやる。そんなアーティスト活動を支える優秀なスタッフにも恵まれて制作されたニュー・アルバムは、とても希望に満ちた作品になった。随所で楽器隊のスキルアップが感じられるし、“ハナウタ”で聴かせるタカシのギター・ソロなど、いままでにないイカしたプレイだ。キヨサクのヴォーカルに味がでてきたことも見逃せない。“いつの日か”には、前回に続いて琉球に対する〈メッセージ〉が込められていることもつけ加えておきたい。(宮島 修 bounce 2004年4月合併号掲載)
riddim saunter
『CURRENT』(2005)
世代やジャンルの壁を軽くブチ破ってしまう、物凄いバンドが現れた。この初アルバムは、ソウルであり、ディスコであり、パンクであり、それぞれのエッセンスを極めてエディット的な感覚で組み立てる独自のスタイルで、このジャケのようにヴィヴィッドな色彩を放つ。音楽だけでなく、ユース・カルチャー全体を次のステージまで引き上げてしまいそうな圧倒的な存在感から目が離せない。(斉藤 ジョゼ bounce 2005年12月合併号掲載)
locofrank
『The First Chapter』(2006)
前作『ripple』から約2年。この日をどれだけ待ちわびていたことか! locofrankの2作目がついにリリースです! 男前な歌声、耳に気持ち良いザクザク・ギター、ツブツブ感がたまらんベース、弾むように奏でられるドラム、涙が出るくらい美しいメロディー……これらが一体となり出現するいわゆる〈ロコ節〉全開のまま、アタマから全力疾走で駆け抜ける、捨て曲なしの12曲! 期待をまったく裏切らない内容!(たけい まき bounce 2006年7月号掲載)
ケツメイシ
『ケツノポリス4』(2005)
ヒップホップやレゲエの敷居をお茶の間にまで引き下げようと、ポップス・フィールドで常に勝負してきたケツメイシ。その集大成ともいえる通算4枚目のニュー・アルバムは、彼ら初となるヒット・チャートを制した“さくら”をはじめ、“涙”“君に BUMP”など耳に馴染み深いトラックが数多く名を連ねた、まさにベスト的内容。裏のない真っ直ぐな眼差しで投げかけてくる言葉の数々は、世代を超えて心の奥に響いてきます。(斉藤 ジョゼ bounce 2005年7月号掲載)
AIR
『one』(2003)
流麗なストリングスやブ厚いホーン・セクションを身に纏い、AIRのニュー・アルバムは表面上驚くほど穏やかだ。全体に横溢するメロウなムードとともに、特に中盤でのスウィンギンなミディアム~スロウ・ナンバーにおける表現力の豊かさには、ギターを抱えアグレッシヴにジャンプする彼の姿は見えにくいかもしれない。しかしその奥には、ヘヴィーでラウドなサウンドを標榜していたころと変わらないエモーションを、確かに感じさせるのだ。(駒井 憲嗣 bounce 2003年12月号掲載)
UA×菊地成孔
『cure jazz』(2006)
驚異的な知識と饒舌な文体が冴える文筆業から、音楽講師や映画音楽監督まで、その奇才ぶりを発揮する菊地成孔と、日本屈指の歌姫UAが出逢ってしまった! “Over the rainbow”をはじめスタンダードとオリジナル楽曲を半々に、UAのフリーキーでエロティックな歌声が聴く者の脳を気持ち良く痺れさせる。ひと夏の幻とも言える極上のコラボに、日本中が〈cure(治癒)〉されること間違いなし!(小林 由果 bounce 2006年8月号掲載)
ムーンライダーズ
『ムーンライト・リサイタル 1976』(2005)
数々の名演を生んだ伝説のライヴ、76年5月の芝郵便貯金ホールの音源が2枚組で復活! その一部は『THE WORST OF MOONRIDERS』にも収録されているが、矢野顕子(デビュー直前!)や細野晴臣の参加曲は初公開。両人のアメリカへのノスタルジーが、ムーンライダーズの無国籍ポップスを引き立てる。70年代シティー・ミュージックの熱気を伝えるドキュメントであり、手作りのプラネタリウムのようなロマンもいっぱい。(村尾 泰郎 bounce 2005年12月号掲載)
浅井健一
『危険すぎる』(2006)
ベスト・アルバムでJUDEに区切りをつけた浅井健一の、再出発となるソロ・シングル。ドラムに茂木欣一、ベースに盟友の照井利幸(!)というトンデモねえ布陣をバックに椎名林檎のエロいコーラスと絡む表題曲をはじめ、デヴィッド・ボウイ“Rebel Rebel”のカヴァー、そしてインスト“STAR”と文句なしにベンジーしまくりな内容。ハナっからわかっちゃいたが、やはり何から何まで危険すぎる男なのだ。(加賀 龍一 bounce 2006年7月号掲載)
EGO-WRAPPIN’
『ON THE ROCKS!』(2006)
国籍も時空も越えた独創的な調べは新境地へ。前作『merry merry』のチャレンジングな姿勢はそのままに、約2年ぶりの新作はニューウェイヴ、プログレ、サイケをまぶしたメロディーとアレンジがタイトルどおりに迸る勢い。厚いコーラスを配して高みへと昇っていく数曲を含め、複雑な展開をスムースに聴かせるメロディーの素晴らしさは過去最高だ。暴れ回る森雅樹のギターと中納良恵のヴォーカルは結成10年選手のものではない。(内田 暁男 bounce 2006年6月号掲載)
KEMURI
『PRINCIPLE』(2005)
結成10周年を記念する2か月連続リリースの第2弾は、日本語詞だった前作に対してすべて英語詞になっている。スカ・パンクというフィールドで闘い続ける彼らの最高の表現手段とは何なのか、この軽快な英詞で改めて思い知らされた。大きく吹き鳴らされるホーンと、それに乗った太い歌声の揺るぎない響き。このバンドが10年という歳月を経て積み重ねてきたものが、はっきりと目の前に浮かび上がってくる。(阿部 真理 bounce 2005年11月号掲載)