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第4回 ─ 〈SUMMER SONIC 06〉予習ディスク・ガイド

連載
オレらの 夏 フ ェ ス 予習・復習帳 06
公開
2006/08/03   21:00
更新
2006/08/10   23:16
テキスト
文/bounce.com編集部

毎年東京と大阪で同時開催される(仙台ではアフター・パーティも!)、SUMMER SONIC。今年も国内外のアーティストが多数集結しており、熱ーい夏を体感させてくれること間違いなしでしょう。そんな〈サマソニ〉の出演アーティストの中から、bounce.com編集部がオススメするアーティストのディスクをピックアップしてご紹介します。

8月12日(東京)に出演するアーティストの作品群

METALLICA
『St.Anger』
(2003)

  頭上から降り注ぐ重金属の塊を、頭と拳(またはデヴィル・サイン)でつぎつぎと撃破する快感。全11曲75分、間断なく続く激烈テンションに、改めてメタリカの底力を見た。本作が放つ猛烈なエネルギーの核にあるもの──メタル・マスターたちの圧倒的スキルと無修正のヘヴィーネス──は、もはや様式美うんぬんで語れるものではない。進化の過程を経て、いま一度バンドとしての活力を自然に取り戻したアルバムなのだから、気やすく〈スラッシュ・メタルに戻った〉とは言いたくない。変拍子や複雑なフレーズを交え、リズム主体で加速していく様子は、アートの域にまで達している。強引に例を挙げるなら、システム・オブ・ア・ダウンに近いものを感じた。暴れられるし、踊れるし、聴き込める一枚。スネアのざらつきが伝わってくる音の生々しさも含め、濃厚なメタリカ汁が満載なのだ。(上野 拓郎 bounce 2003年6月号掲載)

DEFTONES
「Deftones」
(2003)

  4作目となる本作。これがなんとも豊かで、暖かく、優しく、もの哀しい。そして、圧倒的にヘヴィーだ。ザクリザクリと空間を執拗に突き刺し続ける生来の闘争本能は一層の凄みへと到達。それも本作のポイントだが、さらに特筆すべきは、このなんともいえない叙情性だろう。シングル・カットされる“Minerva”や終盤の“Anniversary Of An Uninteresting Event”においてそれは顕著だ。狂おしくも涙腺を刺激して止まない。心揺さぶるヘヴィーネスとは、安易な爆音や歪み追求によって生み出されるものではなく、濃厚な感情のマグニチュードを湛えてこそ実現されるのだと実感させてくれる。ヘヴィーネスからマッチョさではなく不敵な知性を漂わせて歩んできた連中、デフトーンズ。彼らがまたしても生み出した名盤。閉塞感が否めない最近のヘヴィー・ロック・シーンに、ひさびさに響く快音である。(田中 大 bounce 2003年6月号掲載)

HOOBASTANK
『Hoobastank』
(2002)

  いまアメリカのモダン・ロック・チャートを驀進中の4人組のデビュー作。メロディーと曲の雰囲気を大切にし、新境地へと踏み出したインキュバスと通じる雰囲気をもっている彼ら(ツアーもいっしょに回ったという経歴もあるとか)。少しクールな感じが見え隠れしながらも、同時に爽快感あふれる曲調へと展開していく絶妙なバランス感覚は、新人とは思えないただならぬオーラを放っている。今後が楽しみ!(金川 博充 bounce 2002年3月号掲載)

DAFT PUNK
『Human After All~原点回帰』
(2005)

  ここ最近はフランツ・フェルディナンドのリミックスを手掛けたのが目立つ程度だったダフト・パンクが4年ぶりのアルバムで帰還。先行シングルの“Robot Rock”はブレイクウォーターの“Release The Beast”をサンプルしたファンキーなギター・サウンドでしたが、アルバム自体は初期の彼らを思わせるシンプルなビートと、調子に乗りすぎなヴォコーダー・ヴォイスの合体ロボット的。イイ意味で完成未満のような音がスリリング!(轟 ひろみ bounce 2005年4月号掲載)

THE FLAMING LIPS
『At War With The Mystics』
(2006)

   大名盤だった前作『Yoshimi Battles The Pink Robots』の時点で得た、〈これ以上のものはもう生まれないだろう〉という認識は、つくづく甘かったのだと気付かされる。そうキッパリと断言せざるを得ないほどに、4年ぶりに届けられた天上のサイケ集団によるこのニュー・アルバムは素晴らしい。ソフト・ロック的な“Yeah Yeah Yeah Song”にはじまり、そこからプリンスのようなファンク・チューン“Free Radicals”、さらにサイケやプログレと曲ごとにさまざまな色彩を見せながら展開していく。もちろんアルバム全編を通して、細胞のように張り巡らされた重層的なサウンド・スケープは依然として健在だし、涙腺を刺激するポップなメロディーもそこかしこに散りばめられている。さっきまでいたはずの場所よりも遙か高い天空で、彼らはなおも進化を繰り返している。まさに唯一無二にして頂点と呼べる、夢のような作品だ。(加賀 龍一 bounce 2006年5月号掲載)

KEANE
『Hopes And Fears』
(2004)

  〈ポスト・コールドプレイ〉の最右翼! ピアノ主体のアレンジで奏でられる、ソフトだがUKロック・ファンのハートをガッチリ掴むであろう音作りは、耳の奥までスルリと侵入してくる真性美麗ロック。なにしろこのバンド、トリオ編成でギタリストがメンバーにいないという変わり種。しかし、言われてみなければ気付かないギターレスの違和感。至極自然に生み出された異形の、それでいて王道の〈ポップ〉がここにはある。(岩田 真也 bounce 2004年7月号掲載)

くるり
『NIKKI』
(2005)

  前作『アンテナ』より1年8か月、6枚目のアルバムがついに完成! さらなるリズムの広がりをめざす今作はクリフ・アーモンドと沼澤尚をドラムに迎え、決して懐古趣味ではないアナログな手法によるサウンドでロックの隙間/空間までも見事に体現し、いままでにない〈くるりの音〉を奏でている。シングル4曲を含む全13曲、誰も鳴らし得ない唯一無二の音が詰まった傑作であり、今後の日本のロックを占う重要作となるはず。(小室 浩 bounce 2005年12月号掲載)

DANIEL POWTER
『Daniel Powter』
(2006)

  フランスでブレイクしたカナダ出身のピアノ・マン、ダニエル・パウター。話題のデビュー作をプロデュースしたのは、シンガー・ソングライターとは相性抜群のミッチェル・フルームだ。ダニエルのファルセット・ヴォイスはしなやかに伸びて、青空にブルーアイドなソウルを描く。音のひとつひとつの輪郭をくっきりと際立たせたミッチェルのミキシング、そこからこぼれ落ちる鍵盤の音色は、春の陽射しみたいに温かい。(村尾 泰郎 bounce 2006年3月号掲載)

奥田民生
『comp』
(2005)

  いままさに絶頂期(何度目だ!?)にある奥田民生が広島市民球場ライヴを終えて、早くもミニ・アルバムを発表。収録の7曲はすべて同じバンドでレコーディングされており、がっちり密度が濃く、しかも繰り返し聴ける懐の深いものとなっている。ギタリストは民生本人のみとあって、歌とギターがより近づいたような抜けの良さが印象的。バンドの演奏も味わい深く、ついつい浸ってしまう。それぞれ連続性のある詞もユーモラス。(鬼頭 隆生 bounce 2005年5月号掲載)

MATISYAHU
『YOUTH』
(2006)

  NY在住の敬虔なユダヤ教徒にして、青春時代はフィッシュやグレイトフル・デッドを愛聴していたというシンガーのデビュー作。表題曲には上述したバンドからの影響をモロに感じるし、ビル・ラズウェルをプロデューサーに起用している点からもわかるとおり、各楽曲共に一筋縄ではいかない仕上がり。とはいえ、ここには一貫したコンシャスなメッセージが綴られていて、だからこそレゲエの持つ普遍的な部分が出ているのです!(山西 絵美 bounce 2006年5月号掲載)

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