多くの人がそうであるように、僕もしばしば、休みの日は何をしているのか尋ねられるのですが、「意外に早起きです、11時には起きています」以外に話すことがなく、尋ねた方も、尋ねられた僕も申し訳ない気持ちになって困ってしまいます。なので、休みの日、僕が何をしていたかを、ある一日を切り取って少し整理してみたいと思います。
朝、10時半頃、猫が着地するときの〈と〉という音を鮮明に思い出して目が覚めました。ベランダに出て、どこかに猫はいないかと見下ろすと、今日はすごく良い天気です。猫はいませんでしたが、気持ちがいいのでたばこを2本吸いました。〈うんうん〉という短い独り言を言って部屋の中に入り、テレビをつけてコーヒーメイカーのスイッチを入れ、トイレに行きました。便意は無いのですが、便座に座り頬杖をつくと、テレビの女の人の声や、家の真横を走る快速電車の音が聞こえてきます。夏場、窓を開けておくと、この家では電車が通る度にテレビのボリュームを上げ下げしなければいけません。コーヒーメイカーがコポコポ言って、コーヒーが出来上がったようだったので、便は無かったのですが習慣で水を流し、手を洗いトイレを出ました。
コーヒーを飲むと、たばこが切れそうだったので、帽子を被り靴を履いてコンビニへ行きました。途中にある〈チャイルド幼稚園〉という素晴らしいネーミングの幼稚園の運動場は芝が伸び切っていて、数羽の鳩が何か小さなものをしきりに食べて〈ぽうぽう〉と独り言を言っていました。コンビニに着くと、からあげの販促用の、紙で出来た鶏の被りものを店員がみんな被っていて、特に店長のおばさんはサイズが小さかったのかすごく面白い頭の形になっていたので写メールを撮ろうと思ったのですが、「からあげ一個増量中でーす」と一生懸命仕事をしていたので、携帯をポケットにしまいました。まじめな人をからかっちゃいけない。帰り道、家のすぐそばまで来ると、向こうから袈裟を着たお坊さんが原付に乗って走って来ました。通り過ぎ際に僕の家の前で唾を吐いていったので思わず〈あ〉と言いましたが、どうやら届きませんでした。ちょっと嫌な気持ちになりましたが、〈この、なまくらスキン〉という言葉を思いついて、少し楽しくなりました。
あとは、帰って来てテレビの音を消してバンドの練習のCDを聴いたり、他の音楽を聴いたりして、2、3メモをとり、太陽が真上より少し傾いた頃にお酒を飲み始め、月が昇って小さくなった頃に気絶して寝ました。
つまるところ、へぇ、としか言い様がない休日を過ごしています。
今月のBGM

ZOLTAN KOCSIS
『Bartok : Works For Piano Solo 1』
Philips
バルトーク大好きです。大学の頃一番よく聴いたピアノCDです。朝、昼、晩、真夜中、春夏秋冬問わず、思い出したときに聴きたくなる一枚です。
PROFILE
次松大助
99年に大阪で結成されたオリジナル・スカ・バンド、The Miceteethのヴォーカリスト。大瀧詠一のトリビュート盤『Niagara Spring ~Niagara Cover Special~』(詳細はP94にて)に参加している他、7月初旬には新曲&ライヴDVDがリリース予定。詳細は〈www.miceteeth.net〉にて!!