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第15回 ─ 小谷美紗子

連載
SPOTLIGHT!
公開
2006/06/01   00:00
更新
2006/06/01   22:14
ソース
『bounce』 276号(2006/5/25)
テキスト
文/宗像 幸彦

圧倒的な存在感!! ただならぬ思いの詰まった新作を紐解いてみよう


 聴き手の心や社会の矛盾を映し出す鏡のような歌を紡ぎ出し、ただひたすら歌い続ける。そんな彼女のひたむきな姿勢と類い稀なるソングライティングの才能に、音楽ファンのみならずLOST IN TIMEやeastern youth、bloodthirsty butchers、といった数々のミュージシャンたちもリスペクトを送ってきた。オリジナル・アルバムとしては通算8枚目となるニュー・アルバム『CATCH』が、奇しくもデビュー10年目にあたる節目の一枚となるのは偶然じゃないだろう。アグレッシヴな英詞曲“Rum&Ginger”、胸を突くような切ないメロディーのラヴソング“Who”、〈真実を捕まえてみろよ〉と投げかけるタイトル曲の“CATCH”。「いままで疲れて歌にできなかったことや、好きすぎて商品にできなかったメロディーをすべて詰め込んだ」と本人が公言するとおり、思いのたけをぶちまけるような楽曲が並ぶ。サウンド面は前作『adore』同様、自身のヴォーカルとピアノに、100sの玉田豊夢(ドラムス)、山口寛雄(ベース)を従えたシンプルなトリオ編成。足りないものがなく、余計なムダが一切存在しない音の塊がここにある。