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第1回 ─ □□□(クチロロ)×永山マキ(モダーン今夜)対談

第1回 ─ □□□(クチロロ)×永山マキ(モダーン今夜)対談(2)

連載
Niagara Cover Special
公開
2006/05/18   18:00
更新
2006/05/18   20:41
テキスト
文/ヤング係長


――今回はどちらもトリビュート初参加ですよね。大滝さんといえば日本のポップス界の巨匠なわけで、カヴァーをするにも心構えが必要だったのかなという気もします。特に気を使った点を教えてもらえますか。

永山:私にとっては、初めて出会えた人という感じだったから、この新鮮なファースト・インプレッションをどう表現しようかという部分に気を使いました。あと情景が浮かぶような現実的な歌詞だったので、その歌詞を通して私なりに感情を伝えることができればなと思って。

三浦:一回自分に入ったものをまた外に出してあげるみたいな?

永山:ですね。自分でも歌詞を書いたり曲も作ったりするんですけれど、“雨のウェンズデイ”はフレーズも変わっているんですよ。なんでそう行くんだろう?って。そういう意味でも魅力を感じたというか、今回はかなりリスナーに近い立場なんじゃないかと思っていて。入り口としてはとてもいい機会だった。

南波:うちらももう何回も聴き直した。レコーディングの作業中にも聴いて、〈もうだめだ〉って気持ちになった(笑)。原曲が凄すぎて全然かなわない。

三浦:永山さんは思い入れが少ない分自由度も高かったんじゃないですか?

永山:原曲と同じことをやってもしょうがないという気持ちはありました。モダーン今夜は11人編成だから、ヴォーカルの音程を上のほうに持っていかないと声が立たない。だからどの曲もキーが高いんです。今回は気だるい感じを出すために思いっきり下げて低い声で歌っているんですけど、自分の本当の声を出せたのでいつもより歌いやすかったです(笑)。

三浦:俺も今回が一番歌いやすかった。いつも作曲家として□□□の曲を作っていて、歌うときのことを考えていない。だから自分の曲を歌うときはなんでこんなに難しいのかなと思う(笑)。

永山:私も。自分の曲は、曲全体の世界観をゼロから作る作業だけれど、今回はすでに世界が出来上がっているものを、私なりの解釈で歌う、というものだったから、歌い手に徹することができて、新鮮な経験でした。大滝さんの曲は、言葉とか曲の持っている雰囲気が頭に入ってきやすいものだった。やっぱり、聴いているのと歌うのとでは全然違うんですよね。

三浦:普段聴くときには、〈ここがこうなって……〉みたいな分析的な聴き方はしないからね。カヴァーすることで構造やフレーズの感じを考えて聴いてみて、普段では気付かないことがどんどん見えてきた。

――複雑なことをやりながらも、メジャーな部分で受け入れられているのが大滝さんの魅力なんだろうと思うんです。聴き込めばその分だけの受け皿があるんだけれど、歌謡曲的な部分でも許容されてしまう。

南波:細かいんですよね。あらためて聴き直したら、これまで聴こえていなかったフレーズが沢山出てきた。遠くで鳴っているミュート・ギターのフレーズをそのままホーンに置き換えたりとか、表で鳴っているメロディーを後ろに引っ込めたりとか、こっちが新しいフレーズを作らなくてもカヴァーのしようがいくらでもある。極端に言ってしまうとやっぱり凄いなと(笑)。

――じゃあ、最後にこの『Niagara Spring ~Niagara Cover Special~』を聴いてみた感想をそれぞれお願いします。

永山:アーティストによって様々な解釈があって面白かったです。いろんな料理の仕方があるんだなって。□□□も賑やかで楽しくて、春っぽさが出ているのが良かった。夏ヴァージョンも楽しみですね。

南波:まだ1枚だからこのトリビュートの全貌がわからないよね。

三浦:5曲入ってちょうど腹八分目な感じだよね。次が聴きたくなる。これを聴いた人が大滝さんの音源をさかのぼって聴いてくれるといちばん嬉しいな。

※Niagara Cover Special第2弾決定!
『Niagara Spring ~Niagara Cover Special~』に続く夏盤『Niagara SUMMER~Niagara Cover Special~』が8月上旬リリース決定! 曽我部恵一がカヴァーする“A面で恋をして”の収録も決定。乞うご期待!!

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