Ⅱ それでは実際に聴いてみよう! その1
LOUIS JORDAN 『Louis Jordan 1939-1954』 MCA
チャック・ベリーもビル・ヘイリーもBB・キングも憧れたジャンプ&ジャイヴの王様にしてロックンロールの父。ビッグバンドの迫力をスモール・コンボで再現し、ユーモアとエネルギーで満たしたデッカ時代はすべての曲がスタンダード。ジャイヴの魅力が濃縮された一枚だ。
LOUIS PRIMA 『Capitol Collectors Series』 Capitol
ブライアン・セッツァーが採り上げた“Jump, Jive, An' Wail”でお馴染み、もうひとりのルイ。ラスヴェガスのカジノのラウンジで大人気を博したそのあっけらかんとしたキャラクターは、この編集盤での歌声からも窺える。何より、独自のタイトなビートが豪快だ。
FATS WALLER 『Aint Misbehavin』 RCA
〈浮気はやめた〉をはじめ、ジャズの古典を多数残した巨人の名曲集。彼が金欠でレストランの支払いに困っていたところに、名バンド・リーダーのフレッチャー・ヘンダーソンが出くわし、ウォーラーの自作曲と引き換えにその勘定を引き受けたという逸話がなんともジャイヴだ。
SLIM GAILLARD 『Laughing In Rhythm : The Best Of The Verve Years』 Verve
大ヒットした“Flat Foot Floogie”のライヴ音源を含む編集盤。歌にスキャットにギターにピアノと、その変幻自在な芸人ぶりが圧巻。そもそも〈ハーハッハッハ〉と笑い声を歌にしたタイトル曲からして発想がフツーじゃない。生粋のジャイヴ人間。
CAB CALLOWAY 『Are You Hep To The Jive?』 Columbia
このキャブ・キャロウェイのビッグバンドには、若き日のディジー・ガレスピーも在籍していた。ゴージャスで迫力あるホーン・アンサンブルをバックに〈ハイデ・ハイデ・ホー〉と歌う、ジャイヴを語るうえで欠かせない名曲“Mi-nnie The Moocher”は本作で聴ける。
THE MILLS BROTHERS 『Early Cla-ssics 1931-1934』 Naxos
後のドゥワップ、そしてソウル・ハーモニーへと繋がるヴォーカル・グループの基盤といえるのが彼らのようなジャイヴ・コーラス。ギターと声のみで描かれる色鮮やかな世界だ。後期は甘めの曲中心になるが、この初期録音はアップテンポも小唄もばっちり。