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第71回 ─ LL COOL J

連載
NEW OPUSコラム
公開
2006/04/27   21:00
更新
2006/05/25   19:35
ソース
『bounce』 275号(2006/4/25)
テキスト
文/出嶌孝次

誰が〈キング・オブ・デフ・ジャム〉か、教えてやろうか!?



 ズンズンズンズンズン、ズンズンズンズン、ズンズンズンズンズンズンズン……某メロのラップとは何の関係もないが、強烈無比なエレクトロ・ビートに乗って滑らかなマイク捌きを聴かせる“Control Myself”にブッ飛ばされなきゃウソだろ、とか思うよ。もちろん、LLクールJの話だ。そして、同曲を先行シングルに登場した通算12枚目のアルバム『Todd Smith』もまた、とんでもない充実作に仕上がってきた。

 ジェニファー・ロペスの淫らなヴォーカルを従えた件の“Control Myself”は、絶好調のジャーメイン・デュプリ&Lロックがアフリカ・バンバータ&ソウル・ソニック・フォース“Looking For The Perfect Beat”をネタに、オールド・スクール的でありつつ現行シーンのエレクトロ回帰現象も見据えた技アリのパーティー・チューンである。そう、あの“Headsprung”を生んだ前作『Definition』のように、LLはいつだって時代を見据えたビートに喰らいついてきたのだ。今回も、デフ・ジャムの20年(!)後輩にあたるジュエルズ・サンタナを相方に迎えてディプロマッツ系のトラップ・ビートに易々と乗ってみせる幕開けからしてそれを証明しているし、フリーウェイと組んだ“What You Want”も今風のハードコア・スタンスに応じてみせたカッコイイ一撃。映画「エニイギブンサンデー」撮影中にビーフがあったジェイミー・フォックスをはじめ、ライフ、ジニュワイン、メアリー・メアリーらゲスト陣も豪華かつ的確だ。もちろん、名曲“Around The Way Girl”を思わせる“Favorite Flavor”や、ティアラ・マリーの歌がエロい“Preserve The Sexy”などでは〈Ladies Love〉な側面を惜しみなく披露してくれるし、結びにはニーヨ“So Sick”の素晴らしい主客交替リミックスも美味。この恐るべき満腹感に感服だ!!