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第86回 ─ ライド音ヴァイブス

連載
360°
公開
2006/04/27   18:00
更新
2006/04/27   19:25
ソース
『bounce』 275号(2006/4/25)
テキスト
文/編集部

ダンスホール本発刊記念番組放送中!?

 海沿いの国道をドライヴ中のタカシとナナ。ふとラジオをつけると……。

――こちらラジオ・ニンジャ。今日もフレッシュなレゲエ・チューンをたっぷりお届けします。お相手はワタクシ、カラテ・キッドだよ。

ナナ「レゲエだって! 夏っぽくてイイ感じじゃない? ちょっと音上げようよ」

タカシ「そういえば、俺が初めてジャマイカに行ったのは87年だったかな。ヴァン・ヘイレンが流行っててね……(間違い)」

――今回は「bounce book -DANCEHALL REGGAE STANDARDS」発刊記念として、この本で紹介しているアーティストのクソヤバイ曲をかけちゃうよ。レイアウトがどっかのページにソックリなのは許してね。まずは……イエローマン“Mr. Chin”!」

タカシ「なんだかこのディスクジョッキー、キャラを探りながら喋ってる感じだな」

ナナ「この曲、民謡みたいじゃない? イケてんだか、イケてないんだかよくわかんないけど、クセになりそう!」

タカシ「80年代前半の曲だね。この頃はまだ今のダンスホールとはちょっと違うんだよ。モッサリしててイナたいんだけど、そこが良いんだよな」

――プーラーッ!!(と言って曲をストップ)

タカシ「プラ? ブラ?……(鼻クソをほじりながら)わっかんねぇなぁ」

ナナ「〈Pull Up〉よ、そんなのも知らないの?」

――さてこの本、用語解説なんかもあるので、わからない言葉も調べられるよ。で、今紹介したイエローマンを中心に、80年代初期のこともガッチリ載ってます。次はもう一発懐かしいところを。シャギー“Oh Carolina”!

タカシ「おっ、この曲は知ってるよ。90年代中頃はいろんなダンスホール・アクトがどんどん世界的に有名になっていったんだよね。このシャギーとかシャバ・ランクス、シャインヘッド……」

ナナ「わりと聴きやすいね。レゲエってさぁ、ガツガツしてるイメージがあるけど、コレならいっしょに歌えそう。オ~、キャロライナ♪」

――では、どんどんいきましょう。今度は2曲続けていっちゃうよ。ガーネット・シルク“Hello Africa”、それとシズラ“Black Woman & Child”!!

ナナ「うわぁ~、ヤバイくない!?」

タカシ「ガーネット・シルクもシズラもラスタのアーティストだね。シズラのこの曲も少し古いヤツ。今活躍する人気アーティストの古い作品が載ってるのは便利だなぁ。ガーネット・シルクは残念ながら若くして死んじゃったんだよ……〈オジー・オズボーンの再来〉って言われててね(間違い。正解は〈ボブ・マーリーの再来〉)」

――(曲の途中で)プーラーッ!!

タカシ「また出た! ブラ、ブラってうるさいなぁ。最後まで聴かせろっつーの!」

――この本、日本人アーティストもしっかり載ってます。今の日本のシーンもヤバイからね。で、巻頭にはRYO the SKYWALKERとKEN-U……。

ナナ「ウッソ~! 私2人とも大好き。男前だしさぁ、アンタとは大違い」

――……の対談が掲載されてるね。読んでみたんだけど、これが凄くおもしろいんだ。では、そのRYO the SKYWALKERの“Seize The Day”を。

タカシ「へー、カッコ良いんだね、今の日本のダンスホールも」

――はい、もちろん80年代から現在までの日本のシーンの流れにもフォーカスを当ててるよ。で、最近のジャマイカの動向もきっちり触れてあります。そのなかから代表的なアーティストのチューンを。T.O.K.“Footprints”、ショーン・ポール“Never Gonna Be The Same”!!

ナナ「アレ、この2曲トラックが同じだ! こういうのアリなの? パクッてんじゃん!」

タカシ「ホントだ。使い回ししてんだね。でも、どっちもイイ曲だな~」

――聴いてもらえればわかるとおり、これは〈Drop Leaf〉という同じトラックを使った曲だね。この本ではこういったトラックの使い回しの習慣なんかも丁寧に紹介してくれてるんだ。さて、最後の曲。ここ数年のシーンでいちばんイケてるのはコイツだよな。ヴァイブス・カーテル“RealestThing”!!

ナナ「ちょ~カッコ良いんだけどぉ! なんか踊りたくなってきちゃった」

タカシ「へぇー、この人、知らないな。本当に有名な人なん?」

――プーラーッ!!……レゲエ好きで知らない人はモグリ、ヴァイブス・カーテルでした。「bounce book -DANCEHALL REGGAE STANDARDS」は4月28日発刊、ダンスホールの魅力に触れてみたければ、すごく親切な一冊なんじゃないかな。

タカシ「レゲエも変わってるんだね。俺が初めてジャマイカに行った70年代は……」

ナナ「はいはい。ハッタリばかりかます男はほっといて、この本で勉強しようっと」

――ということで、皆さんもぜひこの本↓をチェックしてみてね!

ダンスホール入門にピッタリのディスクガイド本が登場!!

〈bounce book〉シリーズ第3弾として発刊されるのが、この「bounce book -DANCEHALL REGGAE STANDARDS」です。80年代中期を起点に、さらにヴァリエーション豊かになってきた現在のシーンまでをわかりやすくフォローするほか、RYO the SKYWALKER×KEN-Uによるイケメン対談や、同シリーズ好例の〈オススメ盤紹介コーナー〉ではランキン・タクシー、M.I.A.、MINMI、横山剣、MEGUMIも登場するなど、企画コーナーも充実。ダンスホール用語やリディム解説でダンスホールのイロハを紹介する一方で、さまざまな国/ジャンルに飛び火しているその影響力の広がりも紹介。ビギナー/マニアにもオススメの一冊です

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