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第7回 ─ Fuuri

連載
SPOTLIGHT!
公開
2006/03/23   22:00
ソース
『bounce』 273号(2006/2/25)
テキスト
文/宗像 幸彦

リスナーの想像力に飛び込んでくる不思議な妖怪の正体見たり!!


 レゲエやヒップホップ界隈を中心にさまざまなアーティストの作品にフィーチャーされ、シンガーとしての評価を着実なものにしているKeyco。ラッパー/トラックメイカーとして活躍しつつ彼女のほぼすべての作品にプロデューサーとして関わってきたLIBRO。このふたりが結成した新ユニット、それがFuuriだ。この風変わりな名前は、〈風狸〉という妖怪にちなんでつけられたもの。そもそも妖怪自体、人間の想像力の産物なわけで、ネーミングには〈本来、人間に備わっているはずの想像力、発想力を呼び覚まそう〉との思いが込められている。それが決して大げさなものじゃないことは彼らのデビュー・アルバムとなる『Fuuri』を聴いてみればわかるはず。LIBROが発想豊かに作り出すトラックにKeycoのソウルフルな声が乗った瞬間、聴き手は世界のどこかへ〈もっていかれる〉ような感覚に襲われ、否が応にもイマジネーションをくすぐられてしまう。ハウス、ダブ、ヒップホップ、ジャズなど、さまざまな足し算をしていっても、どこかで必ず計算が狂ってしまうような不思議な音──Fuuriが生み出すサウンドは、そんな妖怪の仕業のような魅力に満ちているのだ。