時代や世代を超えて輝き続けるジャパニーズ・ナンバーの数々。そんな名曲たちをカーステで流しながら、今日も気ままなドライヴへGO GO!
――2005年大晦日、時計は午後11時すぎ。都内に向かって愛車を駆る達也、そして助手席にはお馴染み親友のトオル。
トオル「っていうかさあ、今年もオマエと年越しすることになるとは思わなかったよ」
達也「そうだな。本年限り、といきたいね」
トオル「そう言われっと、ちょっと淋しくなるじゃん!」
達也「ホントは今年だって……」
――説明しよう! 達也はかねてから意中の女の子だった愛ちゃんと、クリスマス・イヴのデートを期にお付き合いを始めたばかり! 年越しもいっしょに、といきたいとこだったけど、2か月前から飛行機のチケットを取ってたこともあって、愛ちゃんは秋田の実家に。
トオル「まあ、愛ちゃんもそう急には予定を変えらんないからなあ」
達也「しゃあないよ。来年があるしね」
トオル「ところでさ、なんで今年の初詣は東京、それも浅草なの?」
達也「まあ、〈東京のお正月〉ってものを満喫してみたくなった、ってとこかな」
トオル「ふ~ん。そういやあ、こないだオマエんち行ったとき、〈東京人〉と〈散歩の達人〉のバックナンバーがいっぱいあったなあ。それ読んで空気入ったってわけ?」
達也「ん、まあ、そういうことだよ」
トオル「デートの下見、でもあったりして?」
達也「……で、どのテープかけるの?」
――初めての読者諸君に説明しよう! 達也の愛車には、達也のパパが趣味で編集したカセットテープがいっぱい積んであるのだ!
トオル「今月のびっくりどっきりメカ、発進!……って、これとかどう? 〈ラブユー東京〉って、少々笑えるタイトルだけど」
達也「まあ、聴いてみたら」
トオル「あらほらさっさ~!」
達也「〈ヤッターマン〉の再放送観過ぎ!」
トオル「おっ、この曲は前にも聴いたことある。EPOの“DOWN TOWN”って……これって山下達郎が歌ってたやつだよねえ」
達也「うん、シュガーベイブのヴァージョンは、前に聴いたね(第2回 ─ MY SUGAR BABE参照)」
トオル「どおりでどおりで」
達也「次の曲は変わったリズムの曲だな」
トオル「オレら若造じゃ説明しきれないけど、イイ感じ。“東京Shyness Boy”って、オレみたいなヤツのことかなあ」
達也「っていうかオマエ、東京っ子でもなんでもないじゃん」
トオル「川崎だって東京みたいなもんよ。だって、海外旅行に行って〈ニッポンノドチラカラキタンデスカ?〉って訊かれたら、たぶん〈トーキョー〉って答えるだろ? 首都圏育ちなら」
達也「長野の人ぐらいまでは言いそう」
トオル「つうか、この曲知ってる知ってる! 〈東京ラブストーリー〉の主題歌でしょ!」
達也「懐かしいなあ! 幼稚園のときかな?」
トオル「オフクロがエラくハマッてたの憶えてるよ」
――しばし、懐かしのTVドラマ話で盛り上がる達也とトオル……。
達也「B面は永ちゃんからだね」
トオル「かなりオトナな感じの曲だな。六本木~麻布あたりの匂いがするよ」
達也「うんうん」
トオル「え~、続いては藤井隆“代官山エレジー”」
達也「かなりメロウな曲だけど、藤井隆って〈マシュー〉の藤井隆だよな」
トオル「間違いなくそうでしょ。だって、次に入ってる曲が乙葉の曲だから」
達也「ヘンなとこ気ぃ利かせてる曲順だな」
トオル「たしかに。ところでさ、2005年に結婚した有名人カップルでいちばん驚いたのって誰?」
達也「う~ん、市村正親と篠原涼子はすごいよな。だって、オレたちで言えば、結婚相手がまだ生まれてないってことだからな」
トオル「そりゃたしかにすごいわな。オレはやっぱ、城島のメジャー行き……じゃなかった、ジョージ・マイケルが男と結婚したことかな……あっ、あそこに見えてきたのは東京タワーだよな。夜の東京タワーってオマエと見てもロマンチックだなあ」
達也「それはどうもスミマセンでした……っていうか、いま何時?」
トオル「あと2分で新年……」
達也「おっと、無感動のまま年を越すところだったなあ」
――と、達也のケータイが鳴る。もちろん発信元の相手は……
◆達也……のほほ~んとキャンパス・ライフを送る大学2年生。意中の愛ちゃん(秋田出身)との仲もゆっくりと進展中
◆トオル……達也のキャンパス仲間。お調子者だが意外と純情である
◆達也パパ……マメに編集テープを作っている、ちょっと古風な音楽ファン。高校時代は甲子園に出場したこともある