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第5回 ─ ラブユー東京

連載
ライド音タイム
公開
2006/02/16   11:00
ソース
『bounce』 272号(2005/12/25)
テキスト
文/インクスティック寺尾&ザ・スニーカーブルース

時代や世代を超えて輝き続けるジャパニーズ・ナンバーの数々。そんな名曲たちをカーステで流しながら、今日も気ままなドライヴへGO GO!

――2005年大晦日、時計は午後11時すぎ。都内に向かって愛車を駆る達也、そして助手席にはお馴染み親友のトオル。

トオル「っていうかさあ、今年もオマエと年越しすることになるとは思わなかったよ」

達也「そうだな。本年限り、といきたいね」

トオル「そう言われっと、ちょっと淋しくなるじゃん!」

達也「ホントは今年だって……」

――説明しよう! 達也はかねてから意中の女の子だった愛ちゃんと、クリスマス・イヴのデートを期にお付き合いを始めたばかり! 年越しもいっしょに、といきたいとこだったけど、2か月前から飛行機のチケットを取ってたこともあって、愛ちゃんは秋田の実家に。

トオル「まあ、愛ちゃんもそう急には予定を変えらんないからなあ」

達也「しゃあないよ。来年があるしね」

トオル「ところでさ、なんで今年の初詣は東京、それも浅草なの?」

達也「まあ、〈東京のお正月〉ってものを満喫してみたくなった、ってとこかな」

トオル「ふ~ん。そういやあ、こないだオマエんち行ったとき、〈東京人〉と〈散歩の達人〉のバックナンバーがいっぱいあったなあ。それ読んで空気入ったってわけ?」

達也「ん、まあ、そういうことだよ」

トオル「デートの下見、でもあったりして?」

達也「……で、どのテープかけるの?」

――初めての読者諸君に説明しよう! 達也の愛車には、達也のパパが趣味で編集したカセットテープがいっぱい積んであるのだ!

トオル「今月のびっくりどっきりメカ、発進!……って、これとかどう? 〈ラブユー東京〉って、少々笑えるタイトルだけど」

達也「まあ、聴いてみたら」

トオル「あらほらさっさ~!」

達也「〈ヤッターマン〉の再放送観過ぎ!」

トオル「おっ、この曲は前にも聴いたことある。EPOの“DOWN TOWN”って……これって山下達郎が歌ってたやつだよねえ」

達也「うん、シュガーベイブのヴァージョンは、前に聴いたね(第2回 ─ MY SUGAR BABE参照)」

トオル「どおりでどおりで」

達也「次の曲は変わったリズムの曲だな」

トオル「オレら若造じゃ説明しきれないけど、イイ感じ。“東京Shyness Boy”って、オレみたいなヤツのことかなあ」

達也「っていうかオマエ、東京っ子でもなんでもないじゃん」

トオル「川崎だって東京みたいなもんよ。だって、海外旅行に行って〈ニッポンノドチラカラキタンデスカ?〉って訊かれたら、たぶん〈トーキョー〉って答えるだろ? 首都圏育ちなら」

達也「長野の人ぐらいまでは言いそう」

トオル「つうか、この曲知ってる知ってる! 〈東京ラブストーリー〉の主題歌でしょ!」

達也「懐かしいなあ! 幼稚園のときかな?」

トオル「オフクロがエラくハマッてたの憶えてるよ」

――しばし、懐かしのTVドラマ話で盛り上がる達也とトオル……。

達也「B面は永ちゃんからだね」

トオル「かなりオトナな感じの曲だな。六本木~麻布あたりの匂いがするよ」

達也「うんうん」

トオル「え~、続いては藤井隆“代官山エレジー”」

達也「かなりメロウな曲だけど、藤井隆って〈マシュー〉の藤井隆だよな」

トオル「間違いなくそうでしょ。だって、次に入ってる曲が乙葉の曲だから」

達也「ヘンなとこ気ぃ利かせてる曲順だな」

トオル「たしかに。ところでさ、2005年に結婚した有名人カップルでいちばん驚いたのって誰?」

達也「う~ん、市村正親と篠原涼子はすごいよな。だって、オレたちで言えば、結婚相手がまだ生まれてないってことだからな」

トオル「そりゃたしかにすごいわな。オレはやっぱ、城島のメジャー行き……じゃなかった、ジョージ・マイケルが男と結婚したことかな……あっ、あそこに見えてきたのは東京タワーだよな。夜の東京タワーってオマエと見てもロマンチックだなあ」

達也「それはどうもスミマセンでした……っていうか、いま何時?」

トオル「あと2分で新年……」

達也「おっと、無感動のまま年を越すところだったなあ」

――と、達也のケータイが鳴る。もちろん発信元の相手は……

◆達也……のほほ~んとキャンパス・ライフを送る大学2年生。意中の愛ちゃん(秋田出身)との仲もゆっくりと進展中
◆トオル……達也のキャンパス仲間。お調子者だが意外と純情である
◆達也パパ……マメに編集テープを作っている、ちょっと古風な音楽ファン。高校時代は甲子園に出場したこともある

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