ついに地上に降り立った〈ミックステープの救世主〉

〈Mix Tape Messiah〉〈King Koopa〉の愛称と共にヒューストンの地下世界を荒らし回ったカミリオネアが、自身のレーベル=カミリタリーからようやくメジャー・デビュー・アルバム『The Sound Of Revenge』をリリースした。いまやすっかり説明不要の存在となったポール・ウォールとのコンビで活躍していたことも多少は知られてきたはずだが、オリジナル・アルバムとしてはこれが初めてのソロ作になる。もちろん、『Chamillitary』や『Mix Tape Messiah』などのミックステープをリリースして十分なキャリアを積んできたという意味ではスリム・サグらと同じくH・タウンの〈エリート・コース〉を歩んできたことになるわけだが、他のエリートたちと微妙に異なるのが、メジャー・デビューにあたって必要以上に地元色を強調していないことだろう。もちろん、盟友リル・フリップや、チカーノ・シンガーのナタリー、さらには御大スカーフェイスとビリー・クックらの参加もあるし、バンギンなH・タウン・ビーツも聴けるのだが、それはあくまでも彩りのひとつ。基本的には全国区のプロデューサーを起用することによって、フロウの変幻自在ぶりをさまざまな側面から表現することに成功していると言えよう。なお、この『The Sound Of Revenge』はすでに全米チャート10位(R&Bチャートでは2位)まで上昇している。順調なスタートを切ったこの男にも、未来は約束されているのだ。