時代や世代を超えて輝き続けるジャパニーズ・ナンバーの数々。そんな名曲たちをカーステで流しながら、今日も気ままなドライヴへGO GO!
トオル「おつかれ~……アレアレ? この車どうしたのぉ?」
達也「あっ、コレ? 代車、代車。今月車検でさあ。いすゞのピアッツァっていう、今から20年以上前の車らしいよ」
トオル「ふ~ん、bounce読者にはどうでもいい知識だな……」
達也「ん、なんか言った?」
トオル「ん?……っていうか、いまからちょっとひとっ走りお願いできない? 先輩が、いらなくなったCDを大量にくれるっていうから取りに行きたいんだよね」
達也「なんだそりゃ。で、どこまで?」
トオル「横須賀」
達也「ちょっとひとっ走りにしちゃあ、結構遠くねえか?」
トオル「固いこと言わないでよぉん、晩ごはんゴチすっからさあ」
達也「しょうがねえなあ」
トオル「サンキュ!」
――そんなわけで、二人を乗せた代車ピアッツァは、国道16号線を南へ……。
トオル「達也パパのカセットは……って、今日は代車だったなあ」
達也「いつものブツは一式持ってきてるよ。この車のオーディオもカセットだからさあ」
トオル「おっ、そりゃ良かった。さ~て、今日はどれに……おっ、〈コバルトの季節の中で〉って、秋っぽくて良さそうじゃない? 1曲目が、松田聖子の“風立ちぬ”って」
達也「……ストリングスの音がなんとなく秋っぽさを感じさせるよなあ」
トオル「こないだ〈ミュージックフェア〉に出てたの観たよ。この人、ウチの母ちゃんとほとんど歳変わんないんだぜ。羨ましくねぇ?」
達也「まあな……次はユーミンだな。ユーミンっていうと、オレんなかでは〈冬〉ってイメージがあんだけど、コレは秋の歌だね」
トオル「秋といえばさあ、商学科の愛ちゃんって秋田出身らしいじゃん」
達也「そうそう」
トオル「その後、進展ないの?」
達也「最近は学祭の準備でなにかと忙しいらしくてさあ……とかなんとか言って、こないだ初めて二人で飲みに行ったんだけど」
トオル「ナ、ナントッ!」
達也「帰り、終電なくなっちゃって……」
トオル「うれしはずかし朝帰り、ってかぁ!」
達也「いや、タクシーで途中までいっしょに帰った。おかげで今月ちょっとビンボー」
トオル「なんだよ、相変わらずじれってぇな、オマエら。って、さっきからヨーロッパ風なイイ感じの曲が続いてっけど……小林麻美“雨音はショパンの調べ”ねえ」
達也「マイナー調のピアノとかバンドネオンの音とかって、なんだか秋とか冬の風景をイメージさせるよなあ」
トオル「たしかに。で、小林麻耶・麻央の姉妹だけど、オマエどっちが好き?」
達也「う~ん、ちょっと前に黒髪にした姉のほうが好きかなあ……って、なんだよ!」
トオル「たいした意味はないよ……おっ、B面はTOKYO No.1 SOUL SETからですか」
達也「音の質感が秋っぽい……って、やっぱりピアノの音の感じがミソなのかもね。あと、コーラスとか。このオフコースの曲なんて、まさにそうじゃない?」
トオル「たしかにコーラスの厚い曲は、秋っぽかったり冬っぽかったりするかも。クリスマス・ソングなんかそうだしなあ」
達也「ストリングス、ピアノ、コーラスのいずれかをフィーチャーしたメロウな楽曲、ってのが秋っぽい歌の基本ってとこかなあ」
トオル「うんうん、なんか今日はえらくキレイにまとめるねえ。っつうかさあ、愛ちゃんって学祭でなにやるの?」
達也「コピー・バンドやるみたい。愛ちゃん、ヴォーカルなんだって」
トオル「ふ~ん。で、どんな曲やってんの?」
達也「当日までナイショだって」
トオル「う~む、意味深ではあるな。歌う曲が達也への愛のメッセージを含んだ曲だったりするのかもよ!」
達也「考えすぎでしょ」
トオル「どうするよ、〈ずっと好きよ~♪〉とか視線向けられて歌われた日にゃあ」
達也「まあ、ドキッとするわな。オレ的にはaikoとかの曲だったりすればなお……」
トオル「いや、ここは季節はずれだけど“さくらんぼ”でしょ」
達也「愛ちゃんだけに、大塚愛って?」
トオル「ううん。チェリー・ボーイの達也クンだけに、ってね(ヒャハッ!)」
◆達也……のほほ~んとキャンパス・ライフを送る大学2年生。意中の愛ちゃんとの仲もゆっくりと進展中
◆トオル……達也のキャンパス仲間。お調子者だが意外と純情である
◆達也パパ……マメに編集テープを作っている、ちょっと古風な音楽ファン。高校時代は甲子園に出場したこともある