──Chabeさんからのアドヴァイスで何か印象に残っているものはあります?
川関「“SUNWORSHIP”はもともと英語の曲を補作詞で僕が日本詞に変えてやったんですけど、英語が日本語に変わったときに譜割りだったり響き方が変わってくるから、そのへんをChabe君が〈もっとこういうふうにしたらいいんじゃない?〉て」
Chabe「自分のものだけど、もう僕のものじゃないから割と従兄弟みたいな感じですかね? 似てるけど違うっていう。それこそいま25、6の人なりのものが歌詞に出てるし、僕が書いてもそういうふうにならないと思うんでおもしろかったですよ。単純な翻訳でもないし、解釈されてる感じが。なんか僕の本を読んでもらって、その読書感想文みたいな感じがすごいイイなって」
川関「日本語ってやっぱりちょっと回りくどいし、伝えたい意味を繋げていくと原曲とは少し角度が違ってくるんだけど、それを僕らなりにやってみたかったんです」
Chabe「ちなみに日本語にされるっていうのを知ったのはレコーディングの前の前の日で。〈えぇ!? 大丈夫!?〉てメチャメチャ不安になりましたけど(笑)。でもこれはもう日本語にしたことでNANANINEのものになった感じがすごいしたから」
──Chabeさんのキーボードが入ってくるあたりも、新しい感触ですよね。
川関「キーボードがちょこっと入っただけでも俺ら的には〈キターー!〉て感じですね。いままでSE的な感じで入れたことはあったけど、ちゃんとしたのは初めてだし」
Chabe「(大野)憲太郎のギターがそういうループ的な役割をいつもしてるんで、そことキーボードを絡めればおもしろいなと思って」
──2曲目の“1 WISH”に入ってくるTGMXのトランペットもNANANINE的には初?
川関「初です」
Chabe「80年代後半のギターポップの感じっていうか、ユルいトランペット入れたいなと思って」
川関「ギターポップのそういうの好きだけどやったことなくて。やってみて、スッゲー良かったです。(トランペットが)入ったとき感動しました実際。NANANINEは基本的にギターサウンドでずっとやってきたから、そこにそういう要素が入っただけで全然変わるんだなーと思って」
Chabe「なんか一個そういうのがないとツルッとしちゃうから、どうしようかな?て思ってて。タガミ君(TGMX)もNANANINEに興味を持ってたんで、ちょうどいい機会だから遊びに来てもらって。エッグストーンじゃないけど、ちょっとそういうのをやりたいなぁって。ショコラだったりカジ君だったり、いままで僕がやってきた現場がトランペットとかヴィブラフォンとか鉄琴とかホルンみたいなやつとかものすごい使ってたから。せっかく僕がやってるんだったらと思って入れてみました」
川関「スタジオでもどんどんアレンジのアイデアが出てきて、その場で足していく姿勢が新鮮でしたね」
Chabe「バンドじゃないやつは基本的に僕一人でレコーディングしてるから、〈次これやろう、次これやろう〉みたいに、悩み癖がないんだよねその時点で。ま、最後に〈さぁどうしよう?〉みたいにはなるんだけど、足すときの段階は、全然やっちゃうから。NANANINEの場合も〈違ってたら言ってね〉て言いながらどんどんやってましたね。で、あとで〈ここはなくそう〉とか引いていく」
川関「けっこう俺らは4人のグルーヴで作ってるから悩んだりするんですよ」
Chabe「じゃあたとえばレコーディングで〈こういうの入れようぜ〉てなったら4人で一回話し合うんだ?」
川関「そうですね。ギターだったら入れてみつつ、〈どうだろうね?〉みたいな。ずーっとそうやってやりあって作っていく感じですね。構成とかも途中で〈もうちょっと変えようか〉みたいな。どんどんどんどんイメージを重ねていく感じっていうか」
Chabe「そこは俺すごい勉強になった。見てて〈あぁそうか、そうやって作るんだな、バンドって〉て思ったんですよね。いままで僕らがやってるのはバンドじゃないから……バンドだけど(笑)、CUBISMOはもうとにかくみんなで音をガーって入れて、〈さぁ次どうしよう?〉〈じゃあこれをこうしよう〉みたいな。だからその曲を作った人がプロデュースしてる感じ。だからNANANINEみたいな形は羨ましいなぁみたいな」
川関「NANANINEだと最初俺が持ってったものでも全然違う形になりますもんね。一曲のなかの凝縮感はスゲーあると思います。今回はいつもやってる自分らのなかだけじゃなくて、全然俺らが考えても出ないアイデアが出てきたから」
──今後この経験が活かされて、キーボードがメチャクチャ入ってきたりとか?
川関「(笑)。いやいやそんなことはないと思いますけど」
Chabe「僕からすると、バンドでしっかり確立できてるものがあればあるほど、いろいろやってもおもしろいかなと思うし。(大野)憲太郎(ギター)が鍵盤弾いてみたりとかでもおもしろいなと思うし。いろんなのやってみれば?みたいに、すごい無責任に思うね」
──いまNANANINEは次のアルバムに向けて準備中?
川関「いまは曲作り中ですね」
Chabe「ぜひ曲名を先に付けてください(笑)」
川関「でもやっぱそうですよね。コンセプトがハッキリするっていうか」
Chabe「そう。それは大事。答えを先に付けて問題を作っていくみたいな。意外に歌詞とかで悩まなくなったりするんだよね。ニール(&イライザ)とかがそうなんだけど、堀江(博久)君に先に曲名を付けてもらって、付けてもらったら僕ババババって一日ぐらいで書けるもん。おもしろいから是非やってみてください」
──Chabeさん的な今後は? こないだ『GARAGE LAND』が出ましたけど。
Chabe「いま花楓さんていう女の子のプリプロっていうか、なんとなく曲も作ってて。あとは来年CUBISMO GRAFICO FIVEでレコーディングしようかなと。そんときは逆に僕がNANANINEで学んだんですけど、ドラムとかを大きいスタジオで録りたくなってるんですよね。今回ドラムの音がすごい良かったんですよ。久々にそれを思い出した感じがして意外にショックを受けてたんだよ。だからしっかり俺も刺激を受けてるんです」