NANANINE初の自主企画イベント〈'79ERS TRADE〉にて、Comeback My Daughters、CORNERと共に共演し、アルバム『SEEDY』に収録された“SUNWORSHIP”をNANANINEがカヴァーしたことから始まったCUBISMO GRAFICO FIVE、松田“Chabe”岳二との交流。NANANINEのニュー・シングル“1 WISH”はそんな交流が発展し、全曲をChabeがプロデュース、さらに件の“SUNWORSHIP”のカヴァーも収録!という類を見ないパターンの作品となった。カヴァーされた本人がプロデュースという自体が新しいが、作品のほうもギター・バンド、NANANINEの新たな可能性を伝えるフレッシュな仕上がりとなっている。そこでbounce.comではNANANINEのヴォーカリスト、川関浩司とChabeとの師弟(?)対談を企画。世代を越えた微笑ましい交流の一端がかいま見れるものになりました。

──まずは本作に至る経緯をお教え頂ければ。
川関浩司(以下、川関)「もともと僕がNEIL & IRAIZAとか好きだったし、CUBISMO GRAFICO FIVEもカッコイイなと思っていて。CUBISMOの “SUNWORSHIP”の内容がすごい響いてきたんです。歌詞だけじゃなくてサウンドの開けた感じっていうか、目の前のものに恐れずにどんどん飛び込んでいこうみたいなところがそんときの俺にはグッときて。NANANINEの音楽ってやっぱり葛藤してたり、〈それでも自分らしくいこうぜ〉っていうものだと思うんだけど、CUBISMOのこの曲はそういうとことは全然違った感じがあって、それがスゲーなと思ったんです。それでライヴいっしょにやるだけじゃなくて、本人の目の前で(笑)、“SUNWORSHIP”をカヴァーしたいなと思って」
松田“Chabe”岳二(以下、Chabe)「はじめはアレンジしてカヴァーするから俺に歌ってほしいって言ってたんですよ(笑)。でも単純に嬉しかったですね。〈'79ERS TRADE〉の前に、4年ぐらい前一回NANANINEと対バンしたときに、4人のキャラクターがすごいあって、おもしろいなと思ってたのと、あとはスペシャの〈スペシャ中学〉の印象もあったし。あとは(川関)浩司とかをソニック・ユースのライヴで見かけたり。そのあとCDを聴かせてもらって、さっき言ってたような独特の葛藤感があるなっていうのは思いましたね。CUBISMOに関しては〈バンド〉ていうよりは〈部活〉に近いっていうか、ハイスタとかスキャフルとかしっかりバンドをやった人間がメンバーに何人かいるんで、ちょっとお休み期間にやってる楽しさみたいなところがあるから。逆に言うと真剣にぶつかりあってない感じがあるんで……ま、そんなこともないんだけど(笑)、NANANINEみたいに昔からこの4人でやっていくみたいのがないから羨ましかったですね。いいなーと」
──お二人は世代的にはいくつ違うんですか?
Chabe「9つ違うのかな? やっぱり90年代のギターポップとかもうちょっと前のアノラックとか、そういうところを浩司君は聴いてたんで、そこがいちばん共通してる部分かな。レコーディングの空き時間に僕のiTunesでいろいろ聴かせてたときにヴァセリンズ聴いたりとかしてましたね。あとゾンビーズが二人ともすごい好きで、〈いいよね〉ていう話をしたり」
川関「いつだっかかな? 〈FACTORY〉に出てたショコラのバックでChabeさんを見たんですよ。ショコラも好きだったので(笑)」
Chabe「ショコラの詞を僕が書いてるのを彼は知らなくて。歌えるんですよこの人(笑)。俺、日本語詞を唯一書いたのがショコラぐらいの感じなんです。それを覚えてくれて、口ずさんでくれたときは、ちょっと嬉しかった(笑)。それこそいまの浩司くらいの歳に書いたものだったりするから、いま見るとすっごい幼いんですけど。でもショコラはルックスが好きなんだもんね(笑)?」
川関「いやいや(笑)、音楽も好きだったんです! 本当に」
──実際にスタジオ作業はどのように進んでいったんですか?
Chabe「(スタジオに入って)最初僕がちょっと様子をみてたんですよ。バンドのやり方があるだろうから、どういうふうに進んでいくのかな?っていう。そのなかで〈こういうふうにすれば?〉みたいな提案をちょこちょこしていくみたいな。だからバンドのやり方にちょこっと俺の意見が入るみたいなほうが近いかも」
川関「でもけっこう俺ら的には衝撃的なことが多かったです」
Chabe「衝撃的!?」
川関「たとえば〈タイトルを先に付けたほうがいい〉っていう提案とか」
Chabe「ああ。仮タイトルでずっとレコーディングが進んでて、なんか俺が気持ち悪くなってきて。なんか仮でもいいから出口みたいな感じでタイトルを付けたほうがいいんじゃないかなと思ったんですよ。そうすると歌詞も作りやすいし、3曲の関係性も見えやすいんじゃないかなと……それが衝撃的?」
川関「俺らもう絶対後で付けるから。でもChabeさん一人いるだけで普段と全然雰囲気違いましたね」
Chabe「〈お腹すいたよー〉とか横で言ってるんですよ僕が(笑)。トラックダウンのとき引っ越し手伝わせましたからね(笑)。いや、なんか悩んで生み出されるものもすごい力があると思うんだけど、俺はできないんで。昔からキャーキャー言いながら出来てるようなものが多いから。それしかできないんですよね。同じメンバーで何枚も作っていくと、作業とかもパターン化されてくるじゃない? それはそれで絶対いいんだけど、たまになんか変な試みをすると、自分たちのやってきた行程のイイ部分がわかるじゃない? それで〈あ、こういうところは改善できるな〉とか、そういうのにはなったんじゃないかな?と。〈ここはもらおう〉とか〈ここはいらない〉とかをとってもらえればいちばんいいかな」