時代や世代を超えて輝き続けるジャパニーズ・ナンバーの数々。そんな名曲たちをカーステで流しながら、今日も気ままなドライヴへGO GO!
達也「さ~て、今日はどこ行こっかあ」
トオル「そうだなあ、海なんかイイんじゃない。夏の終わりを確かめに……なんてさ」
達也「おっ、粋なこと言うね! 野郎ふたりでっていうのはビミョーだけど、イイんじゃない!?」
トオル「よっしゃキマリ! それよりこのクルマ、CDプレイヤーどこにあんの? さっき買ってきたYUKIちゃんの新曲聴こうぜ」
達也「あっ、ゴメン。このクルマ、カセットしか聴けないのよ」
トオル「マジぃ? しょーがねえなあ」
達也「うしろのシートにオヤジが聴いてたカセットテープがいっぱい置いてあるからさ、テキトーに取ってかけてよ」
トオル「どれどれ……いっぱいあるなあ……おっ、このへんとか良さげじゃない? 〈ガラス越しに消えた夏〉って書いてあるんだけど」
達也「ほお~、どんな曲が入ってんの?」
トオル「A面の1曲目は“Melody For You”……〈TOSHIKI KADOMATSU〉って」
達也「おっ、いきなり甘いサックスから入ってくるか!……せつないメロだけど、なんかイイ感じ」
トオル「えらく音がキラキラしてるよな」
達也「そうだな。夕陽に照らされた波のようで……」
トオル「うまい! 山田くん、歌さんに1枚!……って、次はサザンだよ。“EMANON”って、この曲は知らないなあ」
達也「サザンにしてはかなり大人っぽい感じの曲じゃない?」
トオル「うんうん、たしかに。でもって、次は“夏のクラクション”。〈JUNICHI INAGAKI〉……って、どうでもいいけど、なんでいちいち名前をローマ字で書いてんだ?」
達也「そういうのが〈ナウイ!〉って思ってた世代なんだよ、オヤジは(笑)」
トオル「おっ、YAZAWAも入ってんじゃん。この“LAHAINA”って曲は、なんとなく真夏の夜をイメージさせる曲だなあ」
達也「それも日本じゃなくて、アメリカ西海岸あたりのね」
トオル「あっ、いまかかってるTATSURO YAMASHITAの曲は知ってるぞ! ちょっと前に誰かカヴァーしてなかった?」
達也「あっ、あったね。っていうか、このカセット〈当たり〉じゃない? 適度にグルーヴィーでメロウ。まさにドライヴ向きって感じじゃない?」
トオル「うん。それに、なんかわからんけど、〈夏の終わり〉って感じがするよ。……おっ、B面はオレが知ってる曲もあるなあ。1曲目のオリジナル・ラヴ“流星都市”とか。つうか、ロマンティックな選曲するなあ、おまえのオヤジ」
達也「まあ、オレのオヤジだからなあ」
トオル「そういやあ、こないだの花火大会でイイ感じになりかけてた商学科の愛ちゃんはどうなったのよ」
達也「いまんとこはどうもこうも……ってところだな」
トオル「あいかわらず奥手だなあ、おまえも……おっと、キリンジだな、この曲は。え~っと、“愛のCoda”ね。〈雨に煙った飛行場〉っていう詞がロマンティックやね」
達也「〈雨〉って歌詞が出てくると、曲の温度が2℃ぐらい下がるよな。そういう意味で〈夏の終わり〉っぽい、この曲も」
トオル「それにしても、結構最近の曲も知ってんだな、オヤジさん。スクービードゥーの“茜色が燃えるとき”って、おととしぐらいやってたアニメの主題歌じゃなかった?」
達也「そうだっけ? まあ、オヤジはあいかわらずいろいろ買ってるみたいでさ、こないだも9枚組ぐらいのBOXセットとか買って、オフクロに怒られてた」
トオル「ハハハ、ホントに好きなんだろうな。おっ、この曲も最近どっかで聴いたことがある! 真心ブラザーズの“ENDLESS SUMMER NUDE”……かあ」
達也「駆け足で去っていってしまう夏、みたいな切なさがある曲だな」
トオル「今年も夏が終わっていくなあ……(しんみり)」
達也「そうだなあ。これといった想い出も作れないまま終わろうとしてるよ」
トオル「いまからでも遅くないんじゃないの? 愛ちゃんのこともさ……あっ、レインボーブリッジが見えてきたぞ! 夕暮れどきに見るの初めてだけど、イイもんだなあ」
達也「でもさあ、野郎ふたりでうっとりしてるのもどうかと思うぜ~」
◆達也……のほほ~んとキャンパス・ライフを送っている大学2年生。
◆トオル……達也のキャンパス仲間。
◆達也パパ……読んで字のとおり達也のオヤジ。高校時代は甲子園に出場したこともある。