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第33回 ─ YORUBA SOUL

連載
NEW OPUSコラム
公開
2005/09/22   16:00
更新
2005/09/22   19:03
ソース
『bounce』 268号(2005/8/25)
テキスト
文/高橋 玲子

オシュンラデが贈る、ヨルバ・ソウルへのディープな招待状


〈栄光の冠を戴く人〉という意味のヨルバ語をみずからの名として活動するオシュンラデ(正式な発音だとこうなるそう)。ヨルバとはナイジェリアの南西部中心に居住する種族のこと。セントルイスからNYに移り住んだ90年代初頭、聖職者と知り合って自身のルーツに目覚めた彼はオシュンラデと改名している。こういう神秘めいた話や、ヤマアラシの針を鼻に刺した凄いヴィジュアルのためか、無闇に〈怪人〉扱いされることも多いけれど、その上質なプロダクションに親しんでいるリスナーからすれば、彼はまず極上のハウス・クリエイターであるし、聴く人によってはオーガニック・ソウルの異才というふうに認識しているかもしれない。

 幼い頃からピアノを学んでいた彼は、シカゴ・ハウスに傾倒したのをきっかけにハウスの世界に足を踏み入れている。NYの〈Body & Soul〉系シーンでDJとして活躍し、99年には自身のレーベル=ヨルバを設立。(当初は)スピリチュアルなディープ・ハウス・クリエイターとして頭角を表していく。2001年にはソウル・ジャズよりファースト・アルバムの『Paradigm』をリリースし、ヨルバからの12インチ群もクロスオーヴァーな人気を獲得。マスターズ・アット・ワークのトラックに鍵盤で参加したり、リミキサーとしても4ヒーロー、ゼロ7、アストル・ピアソラ、セザリア・エヴォラ、MISIA、サリフ・ケイタ……といった面々を手掛けていく。一方では、ミュージック、ヴィヴィアン・グリーン、ラリー・ゴールドらR&Bの範疇でもプロデュースを展開、特にエロウ(エリック・ロバーソン)の“Don't Change”は話題となったし、最近ではナイジェリア系のネオ・ソウル系シンガー、シージーをバックアップしていた。ヴィクター・デュプレーやキング・ブリットに通じるスタンスの天才肌なのだ。

 そんなオシュンラデの最新リリースが、このたびヨルバから登場したコンピ『Ibara : River Crossing』だ。全トラックがエクスクルーシヴの新曲だというのも嬉しいが、中身も期待どおりの素晴らしさ! “Just A Breath Away”で知られるナディラー・シャクールのボッサ・ソウル“Simple Plaesures”をはじめ、ジンジ・ブラウンやロバート・ストラウスなどヨルバにシングルを残している顔ぶれを中心に、先述のシージー、KB、ケッツァルらのトラックが収録されている。もちろんオシュンラデ自身も“Acrylic Venezuela”で登場。このソウルフルな漆黒のグルーヴにまず触れてみてほしい。いつの間にか全身が浸っている……かも。

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