都市型夏フェスの代名詞、〈SUMMER SONIC〉。日本勢を多く擁した新設ステージ〈ISLAND STAGE〉を含め計7つのステージで、今年もロック、ヒップホップ、サプライズなリユニオン、お笑いなど多方面に渡って新鮮なアクトが多くの楽しみを提供してくれた。それではさっそく熱狂の2日間の模様をレポートです!
8月13日(土)
THE SUBWAYS(MOUNTAIN STAGE)

13日、〈MOUNTAIN STAGE〉のオープニングを飾ったのは、デビュー・アルバム『Young For Eternity』をリリースしたばかりの3人組。昼飯前とは思えない観客の熱狂ぶりで、バンドともどもいきなりトップギアでスタート! シングル曲“Oh Yeah”で興奮はピークに。ギターを弾きまくるビリーの若武者ぶりも熱いけど、シャーロットもミニスカ・ジャンプで煽りまくる。個人的にはシャイなジョシュのドラミングを応援しながら、ステージはクライマックスへ。“Rock'N'Roll Queen”のブレイクで向き合って演奏するビリーとシャーロットからは、新婚ヴァイブが伝わってくるよう。ファンからの祝福を受けて、最高にホットなステージだった。*村尾
LOUIS XIV(MOUNTAIN STAGE)

photo by YUKI KUROYANAGI
アルバムでは70'sフレイヴァーたっぷりのロックを聴かせてくれる彼ら。ヴォーカルのジェイソン・ヒルは、シャツにベスト姿というマージービート・バンド風のファッションで登場。ギラギラのブギーからいなたいアメリカン・ロックまで、意外とかっちりした演奏が印象的で、そんなところにジェイソンの完全主義者ぶりが窺えたりも。ちなみにジェイソンのヘアスタイルはムッシュ似なり。*村尾
HAL(SONIC STAGE)

photo by TETSURO SATO
〈ラフ・トレードがストロークス、リバティーンズに続いて送る大物新人〉。そんな謳い文句とはうらはらに、アットホームなステージを見せてくれたハル。「バンドから頼まれて……」と通訳によるバンド紹介の後に出てきた4人は、にっこりと笑いながら柔らかなメロディーを奏で始める。そのレイドバックした演奏と、バンドの素朴な佇まいが会場を和ませていた。*村尾
THE DEPARTURE(MOUNTAIN STAGE)

photo by YUKI KUROYANAGI
サブウェイズはスタジアムで観たかったけど、デパーチャーはやっぱりメッセが似合ってる。濡れたネオンみたいな艶っぽいギター・サウンドに、原色の照明が美しく映えていた。ヴォーカルのデヴィッド・ジョーンズをはじめ、5人のメンバーはマメに動いて観客を盛り上げる。ニューウェイヴ直系のダンス・ビートも炸裂、UKロックの持つ色気が満喫できるショウだった。*村尾
TV ON THE RADIO(MOUNTAIN STAGE)

photo by YUKI KUROYANAGI
黒人3人+白人1人という編成もおもしろいけど、何よりシューゲイザー・サウンドとループするリズムのミクスチャーが格好良い。そこに突然、見事なドゥーワップ・コーラスが入ったかと思うと、最後にはヒューマン・ビートボックスまで登場。NY出身らしい混沌に満ちたステージは、全員でスティックを持ってドラムを叩くバカバカしさも含めて、個人的にこの日のベスト・アクト。*村尾
ARCADE FIRE(SONIC STAGE)

photo by TETSURO SATO
カナダからやって来た8人組の大所帯バンド。なので、もうステージはメンバーで溢れんばかり。ヴァイオリンやアコーディオンの音色にトラディショナルな叙情を忍ばせながらも、メンバーいわく「PUNK ROCK SHOW!」をエモーショナルに展開。楽器を後ろ向きに弾いたり、シンバルを外して叩きながら走り回ったりと、ポーグスも呆れるトラッド・パンクスぶりに観客も大ハシャギ!*村尾
M.I.A.(URBAN STAGE)

「リズムだけ、って感じですよね。カッコイイ」と、取材終わりにM.I.A.を評して言った向井秀徳の言葉を思い出す。そんなライヴだった。ブッシュ大統領が〈M.I.A.〉と口にするオープニングのコラージュ映像(笑える)に続き、DJにディプロ、黒人サイド・シンガーを従え登場したM.I.Aは、手足の長い小顔のキュートなスリランカ人といった風貌からパワフルなラップを繰り出しまくる。バイレファンキ(ブラジルのゲットー・テック)のミックスCDもヤバかったディプロから放たれる変則的なビートに身を揺らすM.I.A.の、ゆったりとしつつ、欧米のリズム感とは違うプリミティヴで呪術的な佇まいが魅力的だ。そしてなんといっても雄叫びのようなハスキーな声が快楽値を高める。未来的で刺激的な音楽性と民族的な儀式が結びついたかのような興奮のステージングだった。*内田
MONEY MARK(BEACH STAGE)

とにかく暑かった〈BEACH STAGE〉。ヤケドしそうな砂浜を踏みしめて観客が見守るなか、特設ステージにはバンド編成でマニー・マークが登場。やんちゃそうなメンバーを従えて、今回マニーはキーボードだけではなく、ギターも弾きながらロックンロールをエンジョイしていた。まるでパーティー・バンドのような絶妙なユルさが、まったりした昼下がりにはピッタリだ。*村尾
電気グルーヴ×スチャダラパー(MOUNTAIN STAGE)

photo by SUMIE
“ナンバーズ”で幕を開け、大合唱が起こった続く“聖☆おじさん”で彼らは会場を完全にもっていった。ヒロシをもじったアニのネタ見せコーナーや、瀧とアニの血みどろのMCバトル、七尾旅人をコーラスに迎えた“英数/かな”“機材屋ロックンロール”など、見せ場もキッチリと用意して飽きさせない。DJブースではラップトップを操作しながら歌いまくる卓球の姿が。ラストは“Love Love Session”、サンバ風にリアレンジされた“Twilight”が祭りを盛り上げて大団円。ステージ上に渦巻く何かおかしなヴァイブがフロアに伝播したかのようなライブだった。*内田
THE TEARS(MOUNTAIN STAGE)

photo by TETSURO SATO
ついに復活! というか、ようやく仲直りしたブレッド・アンダーソンとバーナード・バトラー。二人が登場したとたん、超満員の会場からどよめきが起こる。そして、バーナードのギターが掻き鳴らされて、観客は熱狂の渦へ。ストロボ照明を浴びながら、それぞれのポーズでキメまくるブレッドとバーナード。そのロック根性も愛おしい見事なステージで、新出発を華麗に飾った。*村尾
ECHO AND THE BUNNYMEN(MOUNTAIN STAGE)

ニューウェイヴ少女の憧れだったイアン・マッカロク。ちょっぴり太ってしまったけれど、それがどうした。ボサボサ頭にサングラス、ヨレたジャケットというルーズなスタイルは不良中年の魅力たっぷり。新作『Siberia』からのナンバーを披露しつつ、後半は“Back Of Love”や“Killing Moon”など往年の名曲が目白押し。“Zimbo”の間奏でルー・リード〈ワイルドサイドを歩け〉を挟み込んだりするあたりも堂が入ってる。途中からは煙草を片手に、指鉄砲を撃ちながら歌うなど、まるで酔いどれ詩人みたいな状態に。しかし、そんなグダグダさのなかでも、イアンの歌声には昔と変わらない神秘があって、その抗しがたい魅力に会場は酔わされっぱなしだった。*村尾
THE ROOTS(URBAN STAGE)

“Star/Pointro”“Boom!”など、最新アルバム『The Tipping Point』からの曲をアッパーに繰り出したかと思えば次の瞬間にはJB譲りの怒濤のソウル・レヴューに突入。オールドスクール・ナンバーからナズの『God's Son』に収録された“I Can”の元ネタのあの曲やビヨンセの“Crazy In Love”の元ネタのあの曲などの耳馴染みある曲、そしてダークネスの楽曲のカヴァーまで縦横無尽のファンク大会がまた悶絶もの! クエストラヴのドラミングを要にパーカッション、ギター、ベース、キーボードぞれぞれのプレイに見所満載で、贅沢極まりない一時だった。右斜め前の密集地帯でずっとブレイクダンスしてたB君はちょっとウザかったけど。*内田
DURAN DURAN(MOUNTAIN STAGE)

ナイン・インチ・ネイルズ、イアン・ブラウン、Qティップ、そしてこのデュランデュランと、見事に客層が別れた13日の最終公演。したがって、熱心なデュラン・ファンが会場に集結。バンドもその期待に応えるように、オープニングは新曲“(Reach For The)Sunrise”で挨拶しながらも、2曲目でいきなり“Hungry Like A Wolf”をプレイ! そりゃ、盛り上がるって。そこからは“Planet Earth”“Save A Prayer”“Notorious”など、ファン感涙の名曲を次々と披露。黒人女性のコーラス・シンガーやサックス奏者を従えて、ショウアップされた演出に会場はお祭り騒ぎに。プレスリー化したサイモンをはじめ、メンバーのオヤジ姿も彼方に吹っ飛ぶ活躍ぶりで、スーパースターの復活を印象づけた。*村尾
Q-TIP(URBAN STAGE)

スタンドマイクの前で一瞬動きを止め、ゆっくりとマイクを掴んで一言「My Name Is~~~Q-TIP!」といってライヴはスタート。自身をコミカルにキャラクター化しつつ、DJとのタイトな絡みは怒濤の勢いだ。「ア・トライブ・コールド・クエストの曲を演るぜ」といってメガミックスで繰り出された“Buggin' Out”“Can I Kick It?”“Electric Relaxation”“Award Tour”といった名曲群には狂喜する以外ないが、ソロ・アルバム『Amplified』収録の“Vivrant Thing”なども全く違和感なく共存。ルーツ、M.I.A.、モス・デフ、ジル・スコットなどへもきっちりとシャウトアウトしつつ、トライブ時代の “Bonita Applebum”などを披露した後半では、フロアに乱入しながらラップするなど終始カッコよすぎでした。左斜め前の密集地帯で終始イチャイチャしまくるカップルはちょっとウザかったけど。*内田
▼上記出演アーティストの近作品