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第42回 ─ 70年代ブラック・ムーヴィー

第42回 ─ 70年代ブラック・ムーヴィー(2)

連載
Discographic  
公開
2005/04/07   10:00
更新
2005/04/07   18:27
ソース
『bounce』 263号(2005/3/25)
テキスト
文/出嶌 孝次、林 剛、安田 謙一

『残酷女刑務所』 JVD(1971)
パム・グリアの実質的なデビュー作で、監督は後に彼女と名コンビを組むジャック・ヒル。〈拷問・SEX・集団脱獄……強烈な責めに女体がのたうつ!〉というキャッチ以外に別に付記することもない女囚映画の金字塔だ。てなわけで、看守も囚人も女だらけの世界でパムをはじめとする美乳・美尻が大暴れ。クエンティン少年も大興奮したに相違ない、たまらんティーノ(すみません)な娯楽傑作。実はスライ・ストーンのバックで歌ってた経験もあるパムの主題歌もイイ味。 (出嶌)


ISAAC HAYES 『Truck Turner』 Enterprise/Stax(1974)
〈ブラック・モーゼ〉ことアイザック・ヘイズ主演作のサントラ。当然ヘイズ自身が全曲を手掛けており、自身の風呂場ヴォーカルやメンフィス交響楽団のストリングスなどで濃密な世界を演出し、スケール感豊かに仕上げている。ソリッドなオープニング・トラックを筆頭に『Shaft』の成功方程式を踏襲した構成も巧み。(出嶌)

『ブラック・シーザー』 キング(1973)
黒人版「ゴッド・ファーザー」の異名を持つ73年の作品。NFLのスター選手、フレッド“ハマー”ウィリアムソン(風貌は黒い若林豪!)扮するトミー・ギブスの、靴磨きからマンハッタンを流血で染めるギャングへの〈成りあがり=人種差別への反逆〉を描く。タイトルどおり〈シーザー〉の苦い結末も見事に描写。特筆すべきは路上ロケ。アフロのヅラの屋台にクラクラ!(安田)

『ジム・ケリー in ブラック・サムライ』 ハピネット(1976)
「燃えよドラゴン」(73年)でブルース・リーの脇役として名を上げた黒人カンフー役者ジム・ケリーが、「黒帯ドラゴン」(74年)で主役を演じたのに続き、またも主演をはったアクション映画。東南アジアの麻薬密輸組織に誘拐された大臣の令嬢を救うために、ケリー扮する〈ブラック・サムライ〉が敵地に乗り込み黒魔術集団と格闘を繰り広げる……というもので、B級ムード漂うがスリルはある。ケレン味ある演出に真顔で体当たりするケリーも見もの!?(林)


『カー★ウォッシュ』 ユニバーサル・ピクチャーズ(1976)
青春ドラマで定評のあるマイケル・シュルツが監督したファンキーなコメディー映画。LAの洗車場を舞台に、そこで働くさまざまなタイプの青年たちと風変わりな客たちとの1日をユーモアたっぷりに描いた作品で、一見能天気でありながら人間愛もしっかりと描かれたドラマである。ローズ・ロイスによる陽気な主題曲など、ノーマン・ホイットフィールド制作のナンバーも全編で大活躍。リチャード・プライヤーとともにポインター・シスターズも登場!(林)

DIANA ROSS 『Mahogany』 Motown(1976)
ダイアナ・ロス主演第2作のサントラ。ハリウッド志向な本編のイメージさながらに、マイケル・マッサー主導のスコアはドラマ過剰な豪奢さだが、ジャーメイン・ジャクソンらが黒さを補完。ダイアナが唯一ヴォーカルをとった瀟洒な“Theme From Mahogany(Do You Know Where You're Going To)”が大ヒットを記録。(出嶌)

THE WIZ 『Soundtrack』 MCA(1978)
ベリー・ゴーディJr製作の本編はミュージカル「オズの魔法使い」を黒人キャストで映画化したもの。サントラはクインシー・ジョーンズが総監督を手掛け、数百人の演奏家を従えて壮麗なオーケストラ仕立てで聴かせるカネのかかってそうな仕上がり。主演のダイアナ・ロスやマイケル・ジャクソンの埋もれた名唱が聴きモノ。(出嶌)

CURTIS MAYFIELD 『Short Eyes』 Curtom(1974)
カーティスにとって2枚目のサントラで、本編は刑務所を舞台にした監獄モノ(本人もゲスト出演)。駄作扱いされがちだけど、パーカッションを多用した彼一流のグルーヴが躍動する佳曲揃いじゃないですか。キレのいいファンクにドゥワップの様式美をまぶした“Do Do Wop Is Strong In Here”がやたらカッコ良し。(出嶌)

『ピース・オブ・アクション』 ワーナー・ホームビデオ(1977)
監督兼主演はシドニー・ポワティエ、ビル・コスビーが共演、音楽はカーティス・メイフィールド……の、75年作「一発大逆転」に続く77年のコメディー映画。2人組の泥棒が、青少年センターで子供たちを指導するというストーリー。ノアールな犯行シーンと、日中の指導風景の対比がおもしろい。子供を前に立つポワティエの姿に、ついつい「いつも心に太陽を」(67年)の先生役を思い出したりしてしまう。劇中歌はメイヴィス・ステイプルズ!(安田)

『一発大逆転』 ワーナー・ホームビデオ(1975)
カーティス・メイフィールドがスコアを担当、主題歌をステイプル・シンガーズが歌った今作は、シドニー・ポワティエが監督、ビル・コスビーと共演した〈コメディー映画3部作〉のうちのひとつ。宗教団体のホール建設資金を調達するため、催眠術を用いてボクシング賭博でひと儲け……という邦題どおりの物語だ。悪役ビギー・スモールズの名は、あの故人ラッパーが愛称として拝借。(林)