太田:フュージョンはひどいのばっか聴いてたな。
冨田:どういうのですか?
太田:ジョン・リー&ジェリー・ブラウンとか(爆笑)!!!!
冨田:(笑)あああ! あのダメなリズム隊のヤツですね。
太田:ギターがすごいんですよ、ダリル・トンプソンってすごい人で。
冨田:ブルーノートから出てませんでした?
太田:そうです。一生懸命探して買って、家帰って聴いたらどうしょうもなかった……!
冨田:ドラム良くないですよね。で、ドラムがいいとレコードって良くないですか? ドラムのいいレコードはかなりいいレコードの確率高いですよね。
太田:ですね。それに気付いたのは僕はここ10年くらいですかね。
冨田:僕のまわりで〈ドラム良ければすべて良し〉って言葉があって(笑)。語弊はあるけど、割とそうだよねってなるから。
太田:そうそう、さっき言いたかったのが高校の時、僕の下敷きはパスケースみたいなので。流行ってたじゃないですか? その当時、斉藤ともこっていう「夕日丘の総理大臣」とかに出てた女の子の「平凡」(←雑誌)からとったような写真を入れてたんですけど、それがある日突然、黒人のベース持ったヤツに変わる、っていう(笑)。
冨田:(爆笑)!
太田:(笑)事件ですよね! ビックリですよね! 俺が親だったらかなりビックリするな!!(笑)
冨田:で、誰の写真だったんですか?
太田:スタンリー・クラークです。
冨田:僕ね、ホールズワースの切り抜きでしたよ(笑)。
太田:で、まあ、そんなことやってたんですけど、僕らオリジナルの音楽が作れないからバンドをあきらめて。レコード屋で働くようになって。聴く側になって気付いたのがやっぱり、〈あ、歌ものだな〉と。それからAORとかブリティッシュ・フォーク系とかカンタベリーとか買い漁るようになったんですよ。
冨田:僕もプレイヤーだけど歌もの好きだね。だからそういう接点でいうとスティーリー・ダンとか、『The Royal Scam』以降フュージョンのオケで歌もの、と言っても過言ではないと思うんだけど。いわゆるAORみたいなのも聴きましたよ。ジノ・バネリとかも。
太田:ジノ・バネリのあのウネリはなんだろう(笑)。
冨田:あれね~。あの暑苦しさ、ねっ?!(笑)
太田:『Brother To Brother』いいですよね。
冨田:うん、あれが僕らの世代にとって一番。でも彼にとっても代表作なのかな? ジノ・バネリを良い、とか言って(笑)どんな話なんだ。別に僕が薦める筋合いもないんだけどね。
太田:ペイジズとかね。あの3人目のメンバーなんだったんだろう(笑)。
冨田:詞だけ書くやつね(笑)。ペイジズもMr.ミスターになってからは興味なくなっちゃったんですけどね。
それから、それから
冨田:プログレマニアと言われる人達の7割は叙情的な部分が好きだと思うんですよ。だから僕自身はプログレって言うよりもジャズロックって言った方が合致する部分が大きいですね。
太田:ジャズロックって言っちゃえば、マハヴィシュヌ(・オーケストラ)が入ってもおかしくないですからね。
冨田:そうですね。フュージョンのイカシたやつも入れていいし。
太田:ジャズロック→クロスオーバー→フュージョンって感じですよね。でもそういう時代でしたよね。
冨田:うん。
太田:一時、この価値観がゼロに等しかった時代があったから。
冨田:そうだね。ホントにこの価値観がなくなってたよね。で、僕の作品は今話したような価値観に基づいて作られてるよね(笑)。
太田:ココ持ってきたの?!って感じですよ。キリンジ聴いた時に〈ニール・ラーセン好きなんだろうな〉って思いましたから。
冨田:(笑)そのへんも入ってくるね。
太田:『Jungle Fever』イイですもんね!
冨田:いいよね! あと、“Last Tango In Paris”のマイケル・ブレッカーが大好きで……(以下、ずっとつづく。後略)。
というわけで今月はここまで。今日のお話に出てきたアーティスト、作品を聴いてみたら冨田ラボの秘密がヒモ解ける、かも??知れませんよ。冨田ラボは今後もシングルを連作していく予定。フィーチャリング・アーティストも含めて注目です。
※TOWER CAFEショップにて、ジノ・バネリを始めとしたAOR/FUSIONフェア実施中!(2005/2/3)