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第26回 ─ Nirvana

連載
NEW OPUSコラム
公開
2004/12/16   17:00
更新
2004/12/16   17:29
ソース
『bounce』 260号(2004/11/25)
テキスト
文/冨田 明宏

レア音源が満載のボックス・セットが登場!!


  彼らがグランジ・ムーヴメントの火付け役となり、ロックが死なない限り語り継がれる存在となりえたのは、カート・コバーンの持つ魔力にも似た魅力にほかならない。70年代に起こったパンク・ムーヴメントが無秩序を叫び、権力に対して中指を立てたものであったのならば、カート・コバーンのそれは自分が抱える鬱屈した病巣を叫び、もがき苦しむ己に対して中指を立てたムーヴメントだ。それは一人の男の魂の叫びが社会現象にまで発展した稀なケースだといえるだろう。

しかし、一部の狂信的な愛好者たちによって、彼の人生観や、真にアーティストでニヒルであった要素が安易に解釈され、彼の自殺すらも尊いもののように取り上げられてしまっている。この状況をカートは、天国からどのような気持ちで眺めているのだろうか? 

今回リリースされた3枚組CD+DVDで構成されるボックス・セット『With The Lights Out』は、これまで正規盤では聴くことができなかった音源や、いまや入手困難となっているシングルのカップリング、未発表映像などが収められており、この先彼らを語るうえで欠かせないアイテムとなるだろう。ニルヴァーナという〈現象〉が一体どういうものだったのかを、今作を通じていま一度考えてみてはいかがだろうか。